出版社内容情報
九州北部にある人口三百人ほどの星母島。子どもについての願い事なら何でも叶えてくれるという「母子岩」があり、近年有名になっている。
そこで〝モライゴ〟として育てられた千尋は、一年前に戻ってきて、託児所を併設した民宿を営んでいた。
子どもにまつわる様々な悩みを抱え、母子岩のご利益を頼りやってきた宿泊客に、千尋は淡々と為すべきことを為し、言うべきことを言う……。
簡単な癒しではない、でも大切なことに気づかせてくれる、宝物のような小説。
内容説明
九州北部にある人口三百人ほどの星母島。子どもについての願い事なら何でも叶えてくれるという「母子岩」があり、近年有名になっている。そこで“モライゴ”として育てられた千尋は、一年前に戻ってきて、託児所を併設した民宿を営んでいた。子どもにまつわる様々な悩みを抱え、母子岩のご利益を頼りやってきた宿泊客に、千尋は淡々と為すべきことを為し、言うべきことを言う…。簡単な癒しではない、でも大切なことに気づかせてくれる、宝物のような小説。
著者等紹介
寺地はるな[テラジハルナ]
1977年佐賀県生まれ。2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
160
星母島で託児所を併設したり民宿を営む千尋。 そこに子供にまつわる悩みを抱えながら、この宿にたどり着く宿泊客。決して悩みを解決するわけではない。過去にいろいろあった経験のある千尋が、癒やすわけでもない。でも何かを千尋から遠回しで教えてもらってる。読み手の自分も自然と何か気づきをもらってる。子供がいないからわからないけど、子育てをするに至っての労力はすごいんだろうなあ。深い物語だった。それにしても星母島の島民はいい人だ。とくに政子さん、ロックだわあ。格好よくて惚れてしまいそうだ。2023/06/13
TAKA
49
みんなとか普通はっていうものは自分も信用に与えしないものと認識してるつもりなのに時として流されていくんだよな。寺地さんの本を読むたびに戒めを解いて貰うような思いです。大事なことは自分の意思があるかどうなんですよね。経験なんて人それぞれですから。政子さんの推しはKISSやな。千尋と麦生の関係性もちょうどいい塩梅なのかな。2025/02/05
エドワード
46
九州北部にある星母島。 “モライゴ”として育てられた千尋は、託児所つきの民宿を営む。島にある母子岩が安産や子育ての悩みに役立つと聞いて訪れる人々。今盛んに議論されている少子化対策に関わる人々は皆この本を読んで欲しい。子育ての悩みは果てしない。お金だけでは少子化は解決しない。まっとうな子供に育てなければという呪縛、赤ちゃんの泣き声、公共空間の不寛容、仕事と育児の葛藤、夫婦・義父母のすれ違う思い、今の社会の全てが少子化の原因であることがよくわかる。あらゆる既成秩序から自由な千尋の爽やかさが心地よい好編。2023/04/13
papako
45
タイトルがもったいないかもと思った。連作短編みたいで、その中の一編のタイトルなんだけど、ちょっとすっきりしないタイトルだったな。島で託児所併設の民宿を営む千尋さん。彼女のゆるぎなさがとても気持ちよかった。決して何かを決めつける結末ではないけれど、誰もが前を向いて歩きだす感じか心地よかった。2024/11/04
煮豆
39
九州の星母島にある託児所が併設された民宿を営むのはモライゴとして島で育った千尋。パワースポットの母子岩のご利益目的の宿泊客たちの連作短編集。育児に悩んでいる親の描写がリアル。少しでいいから寝たい!なんでうちの子は大変なんだろうと皆が思ったであろう。近くに少しでも預かってくれる場所があったら心強い。今振り返ると育児疲れで体調不良だったんだろうな、あの頃のわたし。当たり前だと思って心の奥に追いやっていた気持ちは本当に当たり前なのか。ズバッと核心をつく言葉が散りばめられている良作!政子さんと千尋がカッコよかった2023/12/11