出版社内容情報
もういちど会いたいです──都会のはずれのガケの上にある古いアパート。
その屋根裏にひっそり暮らしている元オーケストラのオーボエ奏者のサユリ。
唯一の友だちは、頭の中にいる小さなチェリー。「もっと外へ出て行かなくちゃ」とチェリーは言うが……。
ハンバーガーやササミカツ定食やレモン・ソーダが好き。食いしん坊でこよなく音楽を愛するサユリと個性的な登場人物が織りなす、『流星シネマ』と響きあう愛おしい小さな奇跡の物語。
内容説明
もういちど会いたいです―都会のはずれのガケの上にある古いアパート。その屋根裏にひっそり暮らしている元オーケストラのオーボエ奏者のサユリ。唯一の友だちは、頭の中にいる小さなチェリー。「もっと外へ出て行かなくちゃ」とチェリーは言うが…。ハンバーガーやササミカツ定食やレモン・ソーダが好き。食いしん坊でこよなく音楽を愛するサユリと個性的な登場人物が織りなす、『流星シネマ』と響きあう愛おしい小さな奇跡の物語。
著者等紹介
吉田篤弘[ヨシダアツヒロ]
1962年東京生まれ。小説を執筆するかたわら、クラフト・エヴィング商會名義による著作とデザインの仕事を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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KAZOO
105
前作「流星シネマ」に続く3部作のうちの2作目です。元オーケストラのオーボエ奏者のサユリが父親の残した家の屋根裏部屋での生活をゆったりとした感じで奏でてくれます。主人公の中のチェリーという登場人物がサユリの本音の部分なのでしょう。前作で出てきた人物や元ビオラ奏者なども出てきます。連作長編ということで前作と同様に楽しめました。2024/11/12
NAO
63
持ちアパートの屋根裏に引きこもっているサユリには、他の誰にも見えない話し相手がいる。身長20cmほどの小さな女性で、サユリにあれこれと話しかけてくる。ときには、「チムチムチェリー」を口ずさむ。チェリーの声かけで、しぶしぶ腰を上げるサユリ。そのちょっとした動きが波紋を広げ、小さな偶然を生み出す。その偶然がさらなる波紋となって広がっていく。閉じた世界にいるのは、安心だ。だが、安心できる閉じた世界が楽しいかというと、決してそうではない。外の世界は、明るく広く、何より刺激に溢れ、生きていることを実感できる。2023/12/12
あや
47
「流星シネマ」に続いて読了。以前に1度読んだことがあるはずなのに所々忘れていたおかげ?で新鮮に読めた。 部屋に閉じこもっていたサユリが徐々に外の世界へ踏み出していき、そして彼女が吹くオーボエの『ラ』の音をきっかけに色んな音が重なり仲間が増えていく‥。 やはりこの物語、大好きだなぁ。 次はいよいよ「鯨オーケストラ」を読みます!2023/04/10
なつくさ
44
流星シネマと響き合う、シリーズ第2弾。余韻が素敵な音楽を聴いた後のように残っている。諦めたふりをしている人に読んで頂きたい。でも、吉田さんの物語は人に知って欲しくないと思う自分もいる。知る人ぞ知る、隠れ家的なあるいは屋根裏部屋のような物語たちであって欲しいと思う。こそこそと覗き見ては、微笑んでいたいし、潤んでいたい。でも、知る人ぞ知る人たちと、静かに語り合ってもみたい。そこではゆったりと時間が流れ、皆小さな声で笑うのだ。まるで、夢の中にいるみたいに。水の中にいるみたいに。吉田さんの物語の中にいるみたいに。2024/05/26
鯖
26
参加していたオーケストラが解散し、すっかり気持ちがふさぎこんで、父が遺したおんぼろアパートのわずかばかりの家賃収入を糧に、屋根裏部屋に閉じこもるオーボエ奏者のサユリちゃん。吉田さんの小説にちょいちょい出てくる適度な不労所得がうらやましい昨今。元チョコレート工場で次々に楽器が加わり、ブレーメンの音楽隊のように演奏ができあがってくところがよかった。 2023/01/02