出版社内容情報
愛する夫を喪った女と、夫が大嫌いになった女──
夫を突然亡くし、しばらく料理教室をお休みにしていた実日子(三十八歳)。
ようやく再開した教室に、女友達に紹介されて初めて参加したまり(三十八歳)は、 夫とうまくいっていないのだと皆の前でいうが──
料理教室を舞台にしたふたりの「妻」の孤独と冒険の物語。
各メディアで絶賛され続々重版した長編小説、待望の文庫化。
内容説明
愛する夫を喪った女と、夫が大嫌いになった女―夫を突然亡くし、しばらく料理教室をお休みにしていた実日子(三十八歳)。ようやく再開した教室に、女友達に紹介されて初めて参加したまり(三十八歳)は、夫とうまくいっていないのだと皆の前でいうが―料理教室を舞台にしたふたりの「妻」の孤独と冒険の物語。各メディアで絶賛され続々重版した長編小説、待望の文庫化。
著者等紹介
井上荒野[イノウエアレノ]
東京都生まれ。成蹊大学文学部卒業。1989年、「わたしのヌレエフ」で第1回フェミナ賞、2004年『潤一』で第11回島清恋愛文学賞、08年『切羽へ』で第139回直木賞、11年『そこへ行くな』で第6回中央公論文芸賞、16年『赤へ』で第29回柴田錬三郎賞、18年『その話は今日はやめておきましょう』で第35回織田作之助賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
170
愛する夫を喪った実日子、夫が大嫌いになったまり、料理教室を舞台に二人の視点から綴られる。実日子とまりの心理描写が巧みでお見事で、作者は喪った経験も冷え切った夫婦生活も経験してるのと思ってしまうほどリアルさを感じた。自分としては、まりの気持ちはまったくわからないしついていけないから、光一の判断は間違いないと思う。亡くなった俊生、いつも実日子の心にいてくれてる。俊生がこの物語で一番救われてるのかもしれないのかな。これぞ男と女のラブゲーム。個人的には何度も再読したくなるような名作だと思う。2024/01/27
coco夏ko10角
22
愛する夫を亡くした実日子、夫のことが大嫌いになったまり、二人の女性の物語。今まで読んだ井上荒野さんの作品の中でもこれすごく好きだな。実日子の心と空間の喪失、描写がうまい。そして大嫌いな夫と暮らしているまり、前半で「そこまで嫌いなら離婚すればいいのに」と思ってしまっただけに後半の展開や心情の読み応えすごい。原田ひ香さんの解説もよかった。2023/09/30
野のこ
12
まりと実日子先生とどちらがかわいそうだろう?そこにいるのにいない男なのかそこにいないのにいる男なのか。ふたりの心理描写が共感するようなしないようなだけど、なぜかまり目線だった笑。料理やお酒の描写が多くて細かいのも好き。ワイン飲みながら楽しく読みました。読みやすい、好き。再読。2024/05/13
こばゆみ
12
夫と冷え切った関係のまり、夫と死別した実日子、それぞれの視点から物語が進む。「そこにはいない」というのが、物理的になのか、精神的になのか、どちらのほうがツライかな〜と考えながら読んだ。何か明確な結末があるわけじゃないけれど面白い。そして原田ひ香さんの解説が、井上荒野愛に溢れていてとても良かった(笑)2022/08/07
さき
11
このタイトル、読んだ後で、なるほど!と思いました。 まりの心理→どうしてあんなにきらいな夫と別れなかったのか。私は夫のことをずっときらいでいたかった。だから別れなかったんです。って。そんな事考えた事もなかったけど、そういう心理もあるだろうなと。2人の主人公はどちらが不幸なんだろう、と考えさせられる作品でした。2023/06/15
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