内容説明
「おばちゃんとこ、ナポリタンはやんないの?」焼き魚、ハンバーグ、串カツ、豚汁、オムレツ、ふろふき大根、カレー…昼は定食屋で夜は居酒屋。姑の一子と嫁の二三に、今や大黒柱になった万里の三人で営む佃の「はじめ食堂」は、庶民的で美味しい料理が評判だ。お客のリクエストで、なつかしのナポリタンもメニューに入れることに。一方、常連客の瑠美先生の告発記事が週刊誌に出てしまい…。続々重版の大人気シリーズ、第9弾。文庫オリジナル。
著者等紹介
山口恵以子[ヤマグチエイコ]
1958年東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。会社勤めをしながら松竹シナリオ研究所でドラマ脚本のプロット作成を手掛ける。2007年『邪剣始末』でデビュー。13年、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務するかたわら執筆した『月下上海』で第20回松本清張賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しんごろ
351
前作は悲しい出来事があったので、今作はほのぼのして終わったので良かった。常連さん達の元気の良さが、自分に元気をいただいたよ。そして、気になるのは康平さんと瑠美さん。はじめ食堂が縁でカップル誕生になるか、次作以降が楽しみで、見守りたくなるね。今作、頻繁に登場した“東方美人”飲んでみたい。ちゃっかり『食堂メッシタ』がほんの一瞬だけ登場。なんか嬉しかった。新たにスパークリングワインがメニューにはいり、どんどん増える料理と酒のメニューに、はじめ食堂に行きたくなるねえ。2021/01/26
みっちゃん
188
「みんなのナポリタン大作戦」パスタ、ではない。カレー、カツ丼、ラーメン等と並び称される愛すべき日本の国民食。ウインナーにピーマン、たっぷりのケチャップ。自分的には缶詰のマッシュルームも。苦手な玉ねぎは少なめで。私も「みっちゃんのナポリタン」リクエストしたい。作中でもコロナに触れられてはいるけれど、常連さんが集まるビュッフェ形式の忘年会とか、コロナを無事に封じ込めたパラレルワールドの観を呈してきたなあ。あまりリアルな描写ばかりだと苦しいばかりだから、こういうのもアリかもしれないけど、早く飲み会とか行きたい…2021/05/10
KAZOO
158
まだというかもう9冊目が出ていたのですね。今回もあまり大きな事件は起きないもののちょっとしたことなどもあり、毎日おいしそうな食べ物が供されます。またほかの作品の目黒のお店なども出てきたりします。後ろについている簡単なレシピの「ふろふき大根」と「じゃが味噌バター」をつくってみました。2021/01/23
タイ子
147
シリーズ第9弾。「はじめ食堂」はコロナ禍の中、新年を迎えはや5中旬までのお話。小説とはいえ、お店で開いた忘年会に常連さんたちのマスク着用とか密とかがものすごく気になりまして。ところどころにコロナの事にも触れているだけに、全くの架空とは言えないところが引っ掛かりを覚えたわけです。今回は菊川瑠美の週刊誌告白記事事件、パン屋の大河の恋の話、タイトルの懐かしのナポリタンの想い出話。今の時代にも変わらない人情と温かさがある、そんな食堂にも早く平穏が戻りますように。今夜は牡蠣のベーコン巻きを作ろう。2021/02/03
まさきち
132
相変わらずのあたたかさと美味しさに溢れた話。そして洒落た料理が日に日に増えていく中、久し振りに豚汁や串カツ、ナポリタンという馴染みのある料理が帰ってきたような印象の一冊でした。そろそろ康平と瑠美に幸せが訪れてもいいのにななどと考えながらの読了です。2022/10/06