内容説明
絶品料理と癒しの笑顔が評判の居酒屋「ぜんや」。女将・お妙と馴染みの旦那衆で紅葉狩りを予定していた日の前日、湯島からの出火で「ぜんや」にも火の手が。屋根が燃え、炎に包まれるのを目の当たりにしたお妙は、幼い頃の記憶をよみがえらせ、翌日から腑抜けたようになってしまう。只次郎はお妙を励まそうと、お土産を探しに酉のまちで賑わう浅草へ繰り出した。そこから思いもかけない美味しい出会いがあって…。しあわせ沁みる料理は、喜びであり、生きがいだ―心ときほぐされる人情時代小説第八巻。
著者等紹介
坂井希久子[サカイキクコ]
1977年和歌山県生まれ。同志社女子大学学芸学部日本語日本文学科卒業。2008年「虫のいどころ」で第88回オール讀物新人賞を受賞。2015年『ヒーローインタビュー』が「本の雑誌増刊 おすすめ文庫王国2016」のエンターテインメント部門第1位に選ばれる。2017年『ほかほか蕗ご飯居酒屋ぜんや』で第6回歴史時代作家クラブ賞新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しんごろ
231
前作ほどじれったくはないけど、ああ、それでもじれったいわ!早くお妙と只次郞よ!一緒になってくれよ。只次郞は積極的に、お妙は自分の恋心を認めてほしいね。もう見守るのはしんどい。でも、二人の関係をしっかり育んで、少しでも早く一緒になってほしい。しかし、いやいや後半のまさかの展開にビックリだね。お妙さん、早く立ち直ってほしいし、そして“ぜんや”も…。ラストの話で思ったことがある。俺も餅を搗いてみたい!(餅を搗いたことないもんで……)続き早く読みたいな。2020/03/19
いつでも母さん
187
鰶を「美味い」というご隠居にニッコリしてしまう。工夫して美味しく食べてもらうにわが身を省みた(汗)今回はお妙をモデルに白粉包みの話が纏まり、又しても話は遅々として進まずかと思ったら…あらあら、火事で【ぜんや】が全焼してしまいお妙の様子がおかしい。何と幼いころの記憶が蘇り両親が殺された事を思い出してしまうのだ。お妙に寄り添う只次郎が好くてこのシリーズを読んでいる私。ここまで来ても正直お妙は苦手ですが(笑)物語はこれからが気になる感じ。2021/05/04
Nao Funasoko
115
やや中弛みの感あるシリーズ8巻目。しかしながら、お妙の亡き親の最期についての謎があることに気づいたりお妙にとっても他の登場人物にとっても大切な「ぜんや」がどのように再建されていくのかといった次巻への期待膨らむ一冊ではあった。2020/03/28
もんらっしぇ
109
居酒屋ぜんやシリーズ八杯目。私を「みをつくしロス」から救ってくれた最大の功労者・お妙さんに災厄が!絶品料理と癒しのお店「ぜんや」が大火事に呑まれてしまいます。ここからは逞しくなった只次郎の覚悟の見せ所。お妙さんを救えるのはお前しかいない、わらしべ長者も味方してるぞw 本書の魅力であり特長と感じるのは物語の主人公の視点がお妙さんと只次郎で時々入れかわること。一人称で描かれる筋立てが両者で代わる代わる交代するのです。初期の頃は慣れず違和感ありましたがもう大丈夫、著者の力量の一端を感じる手法と思います。 2020/03/17
タイ子
108
シリーズ第8弾。今回のぜんやは「好事魔多し」いや、今の季節だと「月に叢雲、花に風」でしょうか。ひょんなことからお妙さんが読み本の挿絵のモデルを努めることに。美しく変身したお妙さんに只次郎は一層の想いを募らせていく。お妙さんも同じ想いでこのまま結ばれる、と思いきや。ぜんやの近くで火事が発生、逃げたはいいがお店は全焼。お妙さんが精神を病むという切ない話に。これまで料理で人の心を癒してきたお妙さんが今度は自分が…。お店の再建、お妙さんの過去、まだまだ続きそうです。2020/04/10