内容説明
愛する妻を若くして病気で失った幹彦と、母が恋しくてたまらない幼い姉妹・梢と若葉。傷心の父娘は、鎌倉七里ヶ浜に居を構え、新生活を始める。美しい海、地元の商店街の大人たち、増えていく友達…三人は少しずつ街に馴染み、七里ヶ浜が地元になっていく。とくに姉妹の成長を節目節目で支えたのは、いつも白猫と一緒に現れる少女・マキちゃんだった。幼かった姉妹が自分の道を歩き出し、父のもとを巣立つまでを見まもる、優しい物語。
著者等紹介
名取佐和子[ナトリサワコ]
兵庫県生まれ。明治大学卒業。ゲーム会社に勤務した後、フリーとして独立。ゲームやドラマCDのシナリオを手がける。2010年『交番の夜』で作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
172
妻を若くして失った幹彦、母の顔と愛情を知らない姉妹の梢と若葉の家族の物語。姉妹が幼少の頃、鎌倉七里ヶ浜で新生活。やりたいことを見つけて、その道を進んでいく姿は格好よくて美しい。同時にやりたいことに進んでいくのが羨ましくもあった。幹彦の妻に対する愛も美しく、まさに理想の夫婦というべきか。梢も若葉も大切な人と巡り会えたよね。とくに姉妹の共通の友人であるマキちゃんの存在が大きい。特別に何か起こるわけではないけど、この二人の成長を、まるで親のように見守り、心が優しく穏やかになっていく自分を実感しての読了でした。2024/01/23
みかん🍊
98
母が亡くなり、七里ヶ浜へやって来た父と幼い姉妹,保育園から小中高,大人になるまでの周りに助けられながらの姉妹それぞれの成長を描く,性格も容姿違う姉妹,節目節目に現れるオッドアイの白猫ジョンと相棒のマキという不思議な少女、最後はほろりとさせられる家族愛が描かれた作品でした。2020/01/24
ポップノア@背番号16
91
仕事の関係で鎌倉に引っ越してきた幹彦と、幼い娘達のハートフルな物語。読書好きの梢(6)、アクティブな若葉(4)と、性格の違いが話を面白くしている。最初は可愛いだけだった二人も、受験、就職、夢、恋愛に悩み、やがてそれぞれの道を歩んで行く。姉妹の人生の節々でひょっこり現れるマキちゃんと相棒の白猫·ジョンに最後は泣かされた。若葉の親友の蒼衣の優しさにもホロリ。内向的だった梢にも嬉しい展開があって良かった。読後は表紙を見ただけで幹彦の心情になれます(笑)。「金曜堂」シリーズ同様、定期的に再読したい一冊。2019/12/20
kei302
45
じんわりと温かいものに包まれた感じ。ええ話や~。エピローグの最後の最後まで読ませる。泣くよ、もう。べたべたしてないし、意地をはって変な方向へも走らない。安心して読めるし、人にも薦めることができる(私が薦めても影響はないけど)。岐路に立ったときに現れるマキちゃんと白猫のジョン。ジョンの名前の由来は言われてようやく気づく...ああぁ!マキはね、読んでからのお楽しみで。2020/01/23
シフォン
43
人生の岐路に白猫、姉妹の成長と心温まる物語。七里ヶ浜は、小高い丘に上がると、小説のフレーズのように七里ヶ浜を抱いているよう、右手に江ノ島、運が良ければ富士山が見える景勝地。若くして、妻を亡くした幹彦は、娘達を育てる場所として七里ヶ浜を選ぶ。娘の梢と若菜は、地域の人々に見守られ、友人からの刺激を受けて成長していく。悩んだときに現れて、選択のヒントをもたらす白猫のジョンと相棒のマキの存在。梢と若菜の選択は、若者たちに勇気を与えると思う。2021/01/30