内容説明
東京から逃げ帰った、元女優のタクシー運転手・和子は、イタコの祖母・鯛子と同居しながら、青森でスローライフを送っている。小学校教師で、従姉の薫は、いじめ問題に悩みつつ勤めている。この物語は、霊能力の持ち主である鯛子の活躍を描く―のではなく、和子と薫の独身女子二人組が、「花嫁人形真っ二つ事件」ほか諸々の謎に挑む、少々頼りない探偵譚にして、不器用な恋の物語。恋愛や仕事にちょっと疲れぎみの貴女を癒やす、ハートフルストーリーの開幕!
著者等紹介
堀川アサコ[ホリカワアサコ]
1964年、青森県生まれ。2006年『闇鏡』で第18回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞してデビュー。代表作に『幻想郵便局』から始まるシリーズがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yamatoshiuruhashi
42
この人の小説に出てくる人は類型的な人物が多い。特に飛び抜けたハンサム、美女、などが登場するが、それぞれが当たり前のことながら、順風満帆ではなく何か背負っているものがある。その重荷をどうやって下ろせるのかというプロセスが物語になるわけか。東京でアイドルをしていた女の子は大御所との不倫騒動でバッシングされ、故郷青森に帰ってタクシー運転手、その従姉妹は若い身なが腫瘍で卵巣どころか、子宮まで摘出した教師。教え子には親が娘を捨てて男に走る少女がいる。軽いタイトル、軽い文体の割に重たい主題。ハッピーエンドでほっこり。2021/10/08
のんちゃん
28
タクシー運転手の和子と小学校教員の薫は従姉妹同士。二人とも青森県在住で、和子はイタコの祖母、鯛子と暮らしている。この祖母の所に持ち込まれた心霊絡みの事件を発端に、和子と薫の恋愛を絡め、二人は事件の真相に辿りつくという話となっている。人口の少ない町とはいえ、登場人物がすごく密接に繋がり合うのは、少々ご都合主義的だが、面白かったので、それも許せる。逆によくこの相関関係を構築したなぁと感心してしまった。最後の章がスピンオフになっており、2度楽しめる。2020/05/19
たんぽぽ
18
イタコ、成仏しきれていない霊…はいつもの堀川さん。 みんな傷を抱えながらそれを表にださずに生きている日常。 子供がもっている残酷性、子供よりも男にしがみつくことが大切な母親…明るくのほほんとした文体に毒をはらみまくるいつるもの堀川さん全開。 でも、まとまるのね。いろんな思いを飲み込みながらもまとまるの。 ラストのサブストーリーに拍手喝采。2019/11/25
NAOAMI
16
元女優だったが不倫報道で干され引退、青森に戻ってタクシー運転手をしながら、イタコ+千里眼の祖母と暮らす和子。従姉妹の薫は子供を産めない体になってからは恋も結婚も忘れたかのよう。そんな二人の視点が交互に続く展開。さも他殺な自殺がらみの事件がベースで、犯人候補がすぐわかっちゃう位、推理もへったくれもない。薫のクラスのイジメ問題も絡むが、ドタバタと解決してしまい、読んでる側は傍観するしかない。婆さんの超常キャラがもっと絡めばな。巻末の短編で裏エピソードが描かれ、唐突過ぎた本編のフォローとなってるのが面白かった。2020/01/02
ベローチェのひととき
9
従姉妹同士の和子と薫による恋愛を絡めた事件簿。大変読みやすく、すんなり読み終わることができた。和子の過去や薫の秘密などがタイミングよく明かされ、物語にのめり込むことができた。最後の「一世一代の大吉」には拍手を送りたい。サイドストーリーも本編にどう繋がるのかと思ったが、その部分の話だったのかと合点がいった。2020/05/23