内容説明
「『柳生月影抄外伝・逆風天ノ羽衣』、クランクアップしました」―至誠出版編集部の風見菜緒は、原作者の中西篤哉と京都太秦の撮影所を訪れていた。篤哉の柳生月影抄シリーズは、累計四〇〇万部を突破した人気シリーズだ。撮影の打ち上げの翌朝、菜緒は原稿を受けとるため、映画監督の亀井和将の事務所をたずねた。が、亀井は頭から血を流して倒れていた…。監督は、なぜ殺されたのか?封印されていた哀しい過去と現在を結ぶ、待望の書き下ろしミステリー。衝撃の結末が待っています。
著者等紹介
鏑木蓮[カブラギレン]
1961年、京都市生まれ。塾講師、教材出版社・広告代理店勤務などを経て、1992年、コピーライターとして独立する。2004年、第1回立教・池袋ふくろう文芸賞を、短編ミステリー「黒い鶴」で受賞する。2006年、『東京ダモイ』で第52回江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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達ちゃん
35
戦争が絡む悲しい過去がもたらす切ないミステリーでした。タイトルがまた悲しさをよく表しています。2019/12/20
ちゃんみー
17
「東京ダモイ」を思い出した。2021/03/15
サルビア
15
満蒙開拓団の人たちが日本に帰る時に中国人から自分たちを守ってくれる様に開拓団の中から女性たちを差し出した。その女性たちを讃える記念碑を建てるために奔走していた父親の事を調べていた息子がいた。映画監督である息子は父親の過去を調べていた。その監督と会う約束をしていた出版社の編集者風見菜緒は監督の死体を発見してしまう。監督はなぜ殺害されなければならなかったのか?菜緒と美千香の推理が始まる。戦争の爪痕の深さに胸が苦しくなる。2023/10/13
一五
10
戦争の非道と言うのは易い。心に抱えきれない傷がある。陽子さん哀れ。もうすこし、編集者部分を出してもいい気がするな2021/03/27
さんつきくん
9
ドキュメンタリー映像の監督亀井が殺された。彼は父の将史の自殺の謎を追い、作品にしようとしていた。なぜ将史は死ななければいけなかったのか。そこには京都府京丹後市M町の小さな集落が終戦後、満豪開拓団で満州から逃げるときのある悲劇が隠されていた。そしてある少女の失踪。将史は石碑を建立しようとしていた。なぜ、石碑にこだわったのか。監督が亡くなったことで、取材の資料は編集者で主人公の風見が引き継ぎ、最終的に本として出版しようとしていた。そして終盤、監督を殺した犯人が明らかになる。2020/02/29