内容説明
古手問屋染井屋の長女音夢は、見合いが立て続けに破談となり途方に暮れていた。自分よりも先に妹たちがつぎつぎと嫁いでいくのを気にして、ついに不眠の病をわずらってしまう。不眠の鍼が得意なことから“安眠先生”と呼ばれる医者がいると聞き、治療に訪れた音夢。近所のご隠居・瓢兵衛は、音夢の病は妖怪“ひゃくめ”の仕業ではないかと言うけれど…。読めば心と身体が軽くなる!元鍼灸師の著者が、江戸で評判のはり治療庵を舞台に描く人情事件帖。
著者等紹介
櫻部由美子[サクラベユミコ]
大阪府大阪市生まれ。銀行員、会社員、鍼灸師の職業などを経て、2015年に『シンデレラの告白』で第七回角川春樹小説賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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真理そら
36
職業物も江戸の娘話もファンタジーも好きだ。が、できれば二つの物語として楽しみたかった。4人姉妹の中で一人だけ平凡な容姿で、売れ残ってしまった音夢(ねむ)がヒロイン。幼馴染の許嫁は妹と結婚してしまうし、見合いは次々断られてしまうし、使用人まで…音夢は対人恐怖症的不眠症になってしまう(当然だよね)鍼医者・安眠先生への想いもこの結末では納得のいくものになるとは思えない。音夢もがさつかもしれないけれど、周囲の人たちのがさつさの方がひどくないかなあ、と思いながら読み終えた。2019/04/30
kei302
33
親が子を、人が人を想う。人の想いが交錯する作品。最後のオチが愉快。安眠(美男の鍼灸師)への当てつけに、新作和菓子を「つるつる」と命名した吉祥堂(一応 悪役)。さすがです。転んでも ただでは起きない。うまくゆかないことは他人のせい。自分は気の毒な娘..。安眠から言われた「あんた、がさつだな」。音夢の欠点はあわて者で粗忽なところ。 分かっていてもこれまで直す気はなかった音夢の成長が嬉しい。2019/08/06
onasu
15
古手(古着)問屋の長女:音夢(ネム)は、妹たちが嫁した後も見合いが不調続きで、終には不眠、引きこもりになって、神田明神近くの鍼灸医に掛かることに。 定期的に通い「安眠先生」が気になるようになったのが一番の効き目っぽいが、女性の患者には手を貸す謎めいた尼僧、薬湯を出す茶店の老夫婦、草紙を書く隠居とも関わり対人恐怖性も改善、2編目では件の茶店を手伝うことに。 元々は活発(がさつ?)な嬢さまだった音夢が元気を取り戻した頃、茶店に異変が生じ、また不可思議な別れにも立ち合うことに。気になる作家さんが増えました。2022/02/21
デジ姫
12
初読みの作家さん。発行ひと月で重版。軽く読み進めた。おそらくシリーズ物だろう。はり医者安眠とは言いながらも音夢とのダブルキャストのよう。次回作がどんな展開になるのか期待したい。2019/06/18
Aki
9
初読み。 まあまあ面白いかな。ファンタジーからむとは思わなかったけど。2019/05/17