出版社内容情報
柊サナカ[]
著・文・その他
内容説明
千駄木すずらん通りの一番端にある、四代続くトトキ時計店。十刻藤子は、妹・桜子の三つ子の出産で手が離せなくなった母親に代わり店番をすることに―。時計に全く無関心で知識もない藤子の前に、スイスから来たという不思議な兄弟が現れた。町のシンボルであった時計塔を二十年ぶりに動かすというが…(「塔の上の大時計」より)。日常のさまざまな謎を、ラグジュアリーな時計とともに解決していく、書き下ろし下町ミステリー。
著者等紹介
柊サナカ[ヒイラギサナカ]
1974年、香川県生まれ。日本語教師として7年の海外勤務を経て、第11回『このミステリーがすごい!』大賞隠し玉として、2013年『婚活島戦記』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うまる
35
日常の謎と時計の話の融合が絶妙でとても面白かったです。各話の謎もさることながら、色々な謎を追っていくうちに、自分の知らなかった父親を知る事になる流れが見事でした。身内との確執や命を削る創作の世界の壮絶さを描きながらも、時計大好き兄弟との掛け合いはコミカルで楽しく、全体的には明るい話で読み易いのも良いと思います。2人が裏で色々やっている事がわかる幕間も面白い。 思いがけず良い本と出会えて嬉しいです。続編も楽しみ♪2021/07/13
よっち
35
千駄木すずらん通りで四代続くトトキ時計店。三つ子を抱える妹・桜子を手伝う母に代わり店番をすることになった十刻藤子が、スイスから来た兄弟と出会う下町ミステリ。亡き父との苦い思い出に囚われて前に進めないでいた藤子と、上の階に入居した訳ありのジャンとアキオ。時計バカな二人と屋上の時計塔を二十年ぶりに動かそうと試みたり、身の回りの出来事を時計を絡めて解決したり、気のいい彼らとのやりとりを積み重ねてゆくことで、少しずつその過去も解きほぐされ変わっていった彼女のリスタートと彼らとのほどよい距離感がとても好みでした。 2019/01/15
はるき
34
かなり好き。高級時計に縁もゆかりもありませんが、門前の小僧よろしく夢の世界を覗いた気分です。精密で嘘のない小さな世界を、ついつい自分も欲しくなってしまう!!2019/01/19
いぼいのしし
26
三つ子を出産した妹の手伝いで不在となる為、店主の母親に時計屋である実家の店番を頼まれた藤子。そのビルにスイスから来た兄弟が店子で入って来る...。時計の蘊蓄がおもしろかった。セイコーの凄さを再認識した。2020/12/06
お涼
24
期間限定で実家の時計屋さんの留守番をすることになった十刻藤子(とときとうこ)。ただの店番だからどうでもいいとぼんやりと過ごす毎日。時計屋さんのビルの空き室に入居してきたスイスから来た兄弟、アキとジャンからビルの上にある大時計を直したいと言われる。時計の知識や歴史、時計職人の話など盛り沢山で、いろいろ刺激された。藤子だけでなくアキとジャンたち3人の再生物語なのかな。軽い気持ちで読み始めたけど何度か泣かされた。2021/02/15