内容説明
シャンゼリゼ大通りでとびきりのフレッシュフォアグラを頬張り、ヴォォルガ河のキャヴィアを食べ、ベトナムの戦地でネズミの旨さに仰天する。世界を股にかけた酒飲み修業で、ビール、ワイン、ウイスキーなど酒という酒を飲み尽くす。己の食欲に向き合い、食の歓びと深淵を探る。旅に暮らした作家・開高健が世界各地での食との出会いを綴った、珠玉のエッセイ集を新装版にて刊行。
目次
1 どん底での食欲(どん底での食欲;女帝を食うか、女帝に食われるか;赤ン坊の蒸し物 酒飲みの煮込み ほか)
2 世界酒のみ修行(罵る;もどる;世界の酒飲み修行に出かける ほか)
3 小説家のメニュー(蟹もて語れ;ドジョウの泡;ソバの花 ほか)
著者等紹介
開高健[カイコウタケシ]
1930年大阪府生まれ。大阪市立大学卒。寿屋(現・サントリー)宣伝部時代の58年『裸の王様』で芥川賞受賞。68年毎日出版文化賞、79年川端康成文学賞、81年菊池寛賞、87年日本文学大賞をそれぞれ受賞。1989年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Shoji
45
実際に食べて飲んで様々な経験をして来られたんだなと思った。氏が経験したことや、味わったこと、食に関して考えたことをさりげなく綴っています。よくありがちな、食べることや飲むことへのこだわりや造詣を押し付けていないところがいいです。楽しく読むことが出来ました。2019/12/14
くみ
19
私の中の「食エッセイ」は「ゆったりした気持ち」を運んでくれるものだったのですが、根底から激しく揺さぶられ粉砕された気がします。特に冒頭の古代〜近代の喫人習慣、太平洋戦争中・後の体験がかなり生々しく「最後まで読めるかな」と不安になりました。しかしぱりんと割れたいつもの世界から思い切って開高先生にゆだねてみると新しい世界が開けてくる。お酒やチョコレートアイスにしても妙齢の女性を描写するにしても艶やかなこと!そして混乱の時代を生きてきた人の息を呑むよえな逞しさ。冒頭は先生の世界に入る洗礼だったのかもしれない。2018/09/04
DEE
14
食に関するエッセイ集。既読のものもあるが、旅と食に関する良質のエッセイは新たな発見があったりするので、それもまたいい。 この本、とにかくドライマティーニが飲みたくなる。 缶入りとかごまかしがきかないので仕方なくジンとベルモットを購入。 開高健曰く「マティーニ以外はカクテルではない」。 そう言われちゃったら、やはり飲まなきゃダメだよね。2020/02/28
niz001
4
酒7・食3ぐらい。既読が多かった。2018/01/04
モンティ
0
なかなか興味深い内容。確かにかの国では椅子と机以外の4本足は食べるとは聞いたけど、まさかネズミとは…日本人はネズミは不潔な生き物として忌み嫌うが、食としての角度から見ると食べられるのかも…それも美味しいって!リスも美味だとか…食べ物がない時は同じ人間ですら食の対象だったのは仕方ないのかなあ…究極の飢餓状態だと思うけれど。私自身はお酒を嗜めないので、ワインや日本酒、ビールの話は読んでも聞いてもさっぱりわからない。なにせ料理の中のお酒で二日酔いになり、頭痛がお酒のせいだとわかったのが最近の事。2023/09/04