内容説明
神戸・元町にあるイタリア料理店「ラファーノ」。兄と妹が厨房担当で、僕はホール係だ。ある日、高校の同窓生・優奈が来店した。お店を気にいったらしい彼女が何度か通ってくるようになった頃、高校時代のソフトテニス仲間・伸幸が店にやって来た―。プロシュート、鶏の白ワイン煮込み、仔羊のカツレツ、夏サンマのマリネ、カッサータ…など美味しい料理と、友情と恋愛の間で揺れ動く男女の心の機微とかけがえのない人生を描く感動の物語。書き下ろし。
著者等紹介
上田早夕里[ウエダサユリ]
兵庫県出身。2003年『火星ダーク・バラード』で第4回小松左京賞を受賞し、デビュー。2011年『華竜の宮』で第32回日本SF大賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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三代目 びあだいまおう
260
寝る前に軽い一冊をと思い手に取る イタリアン、トラットリアのお店で楽しむライトなひととき。それは訪れるお客様に幸せを届けるのか、それとも孤独か。音楽と素材、飲み物と料理名もちゃんと触れてるからリアルに心地よいトラットリアを楽しんでる感じ。調理のシーン、お腹がすきますね!視点はシェフのいささか半端な弟。父親がイタリアンを志したきっかけが、何となくラベットラの巨匠、落合シェフに似てた。10年ほど前に激ヤセした落合さん見てかなり心配したが、実はただのダイエットと?華竜の宮の作者とは思えないライトさでした‼️🙇2019/02/11
しんごろ
227
父が一線から身を引いて、兄、弟、妹で営むイタリア料理屋さんの話。イタリア料理を楽しみながらお客とやりとりする話だと思ったら違った。次男の和樹と親友の信幸、女友達の優奈とドロドロとはしてないけど、バブル期全盛のトレンディドラマ顔負けの三角関係の話とは。まあ、何があろうと美味しい物を食べれば、なんとかなるさ。料理が美味しそうなので、もっと料理をメインにしてほしいのが本音。和樹、信幸、優奈、いろいろ想いはあるかもしれないけど、それぞれ頑張れ!と言いたい。【読んだ本登録777冊目】2021/03/30
hit4papa
94
兄の経営するイタリア料理店で、ホール担当として働く青年が、高校時代の親友とその婚約者の間のさざなみに戸惑う姿が描かれた作品。その昔、婚約者が恋してたのは主人公の青年で…という、甘酸っぱい展開です。結婚を間近に控えた女子の揺れる心。彼女の気持ちに昔から気づいていながら蓋をしてきた親友。二人におとずれた危機に、青年は料理で修復を試みます。本作品は、恋愛小説でありながら、自分の行く末に迷いを感じている青年の成長物語でもあるのです。まるで深夜ドラマのようですが、イタリアンと深夜ドラマ好きの自分には好感が持てます。2021/10/18
yanae
65
上田さんの新刊久々に読みました。シェフの兄・姉、サーブの弟が営むトラットリア・ラファーノを舞台にした物語。てっきりシェフとお客様との日常を描いたものかと思いきや、サーブをする弟が主人公。昔の同級生と親友がお店に来たことから、ちょっとした人間関係のごたごたに巻き込まれる。その1件から、家族の都合で、店を継がざるを得なかった主人公が、自分を見つめなおす。その感じがいい。それにシェフのお兄ちゃんはかっこいいし、ごはんもおいしそう。とても短かったので、もう少し彼らの活躍が読んでみたかったです。2018/04/07
ひさか
58
2017年12月ハルキ文庫刊。書下ろし。料理人の仕事だけではなく、男女の想いの話も混じっているのですが、淡々と綴られるストーリーは、現実味が希薄で、少し物足りなさを感じます。2018/03/19