内容説明
夫が賄を受けたという、いわれのない咎で西国の藩を追われ、親子三人で江戸に出て来て十四年、夫が亡くなってから十三年。その間、真沙女は息子・夢之丞の仕官だけを頼みに、地道に生きてきた。しかし元奉公人のお久米と偶然にも再会し、一緒にお袋の味のお惣菜とお茶漬けの店をはじめることに。母親の変わり様に出入師の夢之丞はとまどいながらも、生き生きとしている母の姿を見て、陰ながら店を助けるが…。“母子燕”が自ら幸せを切り拓く、待望の新シリーズ、ここに誕生。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
102
前シリーズは未読だが、ここからでも十分に楽しめる。夢之丞の母・真沙女が肚を据えたのが何より良い。元奉公人・お久米のつくるあれやこれも、食いしん坊の私の食指を動かす。新シリーズの開始に四話目の『さやけし』にグッと来る。世の中には例え血の繋がりは無くとも、慕われて再び会う事も無く哀しく亡くなった者へ、こんなにあったかい思いを馳せる者が居たっていいよね。2017/09/30
baba
35
新シリーズが始まったと手にするが、登場人物が説明なしに語りが進み、馴染めずにいたら「出入師夢之介覚書」のリメイクスタートと知る。仕官をあきらめた夢之介の母親真沙女が凛として小気味よい。温かな人々のふれあい、人情と美味しそうな料理の数々、適度なミステリーの緊張感を味わえるシリーズが始まったようで次作が楽しみ。過去を払拭した真沙女、前作を読むか迷う。2017/11/07
メルル
25
「ぶぶ漬屋稲茶」は、お袋の味を提供する料理屋。女将、真沙女の凛とした雰囲気がなんとも格好良く、料理人お久米と共に店を威勢よく切り盛りする姿が印象的。「出入師夢之丞覚書」シリーズは読んでいないが、事情が分かるようになっていたので、読みやすかった。美味しそうな料理もたくさん登場するので楽しみなシリーズとなった。あとがきに衝撃なことが書いてあり、楽しみなだけに不安な気持ちになった。2017/12/07
那由多
19
あとがきによると『出入師夢之丞覚書』シリーズにつながる話らしく、新しくシリーズ化される予定だった模様ですが、作者が亡くなられた為これ1作で終わったようです。ぶぶ漬け屋がやっと開店し、これからだっただけに残念です。2020/10/07
ドナルド@灯れ松明の火
19
おりきシリーズの合間に読んだ。新しいシリーズを考えていたようだが続きを書けず亡くなってしまった。色々とシチュエーションを考えられていたようだが残念だったろう。合掌2020/09/27