内容説明
二十八歳のみのりは、コンビニチェーンでカップスイーツの商品開発を担当している。故郷をはなれて、東京で働くこと。希望していたスイーツ開発の仕事。忘れられない恋の終わり。自分で選んだことのはずなのに、なにか満たされないのは、なぜ――?悩みながらも、「点」をつなぐように選択を重ねていく静かな日々。著者初の仕事小説が、待望の文庫化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
148
コンビニチェーンの商品開発の仕事をしている女性の話!過労で倒れるんでないかいというほど、頑張っている主人公みのりに共感が持てますね。仕事、恋愛、家族、日常の出来事、会話、常に選択しながら人生を歩まなければいけないですが、その選択がたとえ間違えたとしても、後悔しても信じるしかないよねと、ひっそりと静かな物語の中で、気づきと学びを教わった物語でした。点をつなぐ…その通りだと納得しました。2017/11/12
masa@レビューお休み中
95
点をつなぐ…。出来事も仕事も毎日の慌ただしい選択の数々も…。すべてが点であり、その点はいつかは繋がっていく。そのことを物語を通して、主人公のみのりの行動を通して、突きつけられるように見せられる。この物語は決してドラマチックなものではない。むしろ、僕たちがいる現実の当たり前の世界が繰り広げられている。過労、失恋、再会、異動、どこにいっても、何をしても点を繋ぐ選択をしなくてはいけない。その選択が間違っているかどうかなんてわからないまま、みのりも僕らも今日も生きているのだ。2017/11/05
TANGO
47
「それで、満足?」という帯にひかれて購入。学生から社会人、仕事、恋愛、結婚、出産、、、それぞれの環境が目まぐるしく変わっていく20代後半。コンビニスイーツ開発に携わる女性の静かな日々の物語。するもしないも、やるやらないも、毎日毎秒が選択の連続。歳を重ねたぶんだけ選択肢は増え、選択できる時間は減り、それでも繋いだぶんだけ、どんなにそれがいびつでも、自分の形が浮かび上がってくる。主人公の仕事も興味深かったし、彼女が同窓会で感じる心情に共感したり、初の加藤千恵作品、悪くなかった。2017/05/17
ピロ麻呂
46
過去を振り返って、あの時別の選択をしていたら違った人生になっていたかも…って誰しもが考えること。「点をつなぐ」というタイトルは、そういった人生の岐路をつないで形にしていくという意味なんやね(^^)加藤千恵作品としては恋愛少なめ、お仕事多め。人それぞれの生き方について考えさせられる作品でした☆2017/04/24
Tadashi Tanohata
35
村田沙耶香の「コンビニ人間」とはA面B面のような関係か。事実、巻末に2人の対談が。起伏の小さなシンプルな日常がシンプルに進むうちに、「点をつなぐ」の意味するところが分かる。それは少し意味深く、そう少しの気づきでいいんだと、少し前進させる。2019/03/02