内容説明
好んで通っていた京都の美しい寺で、不思議な女性に出会った若き陶芸家。彼が誘われた世界とは―(「白い椿の咲く庭」)。猫を飼えない暮らしがどうにももの足らず、空想上の猫“いないいないばあ”を飼うことにした夫婦の猫愛がいとおしい「笑い猫飼い」。信太少年が乾物屋の店先で見かけた、どうも様子のおかしなおさむらいのお話(「ばけねこざむらい」)など。心から猫を愛した作家の筆から溢れ出る、猫ならではのふしぎな魅力満載の短篇十一作品を収録。すべての猫好きに贈る一冊。
著者等紹介
今江祥智[イマエヨシトモ]
1932年、大阪府生まれ。同志社大学文学部卒業。中学教師、編集者を経て作家活動に入る。代表作に、『山のむこうは青い海だった』、『ぼんぼん』(日本児童文学者協会賞)と、その続篇『兄貴』(野間児童文芸賞)二作品に『おれたちのおふくろ』『牧歌』を加えた四部作(路傍の石文学賞)などがある。2015年、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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mae.dat
250
なるほどねぇ〜。名古屋弁は猫語と親和性があったのか。11話掌編。なんか平仮名に開いてあって、余計に読み難いのですけど。と思ったら成る程、児童文学方面の方だったのですね。ねこは通底したテーマとはなっていますが、そんなに強い縛りでも無く。それどころか最初の方はねこがラストにちょろっと出ては来たものの、関係ない感じで。どうなっているのって思ったら、亡くなられた事に際して、過去作を再編成されたものの様です。ねこは人の語りに反応したり、人はねこの仕草から察したりしていてね。そう言うのは話が自然で良いな( ¨̮ )。2025/01/10
ぶち
116
[にゃんこまつり2021] 古本屋さんの棚で偶然に見つけた本です。10代の若い頃に読んだ児童文学『山のむこうは青い海だった』に感動し、今江祥智さんの名前を覚えました。児童文学の世界でたくさんの章を受賞している今江祥智さんが、こんなにもたくさんの猫のファンタジーを書いておられるとは、たいへんに嬉しいサプライズです。どの短編も、猫のふしぎな魅力にあふれています。今江さん、心から猫を愛していたんだなぁと、想像できます。猫好きの方にはたいへんお薦めです。2021/02/19
吉田あや
76
今江さんと宇野さん、大好きなコラボがもう見れないのかと残念でならない所に、こんなうれしい編纂本を出してくれることが凄く嬉しい!猫をこよなく愛した今江さんによる、猫たちの不思議と魅力が溢れる短編集。できたてのお豆腐みたいに白く、上等の毛糸玉みたいにふっくらした子猫、歯を剥き出しでニヤニヤ笑うあの有名な猫、スミレの花のように幸せに眠る猫になった女の子、愉快な化け猫侍。あさきみめみし、えひもせす。夢幻よりも柔らかでふわりとそよぐ、今江さんが奏でる幸せな猫時間。2017/05/05
nemuro
44
既読は『薔薇をさがして・・・』(2010年6月読了)、『優しさごっこ』(2021年11月再読)の2冊。思えば『ぼんぼん』、『冬の光 ~続・優しさごっこ~』などを読んでいたのは読メ登録(2009年1月)より30年近くも前のこと。昨年8月「岡書(OKASHO)帯広イーストモール店」での購入。単行本『きょうも猫日和』(1991年)からの10篇と『飛ぶ教室 第40号』(2015年1月)に収録の「ばけねこざむらい」(遺作)を加えた、心から猫を愛した作家による11篇。今江祥智の本には宇野亜喜良氏の装画が良く似合う。2024/06/05
千穂
40
全編、猫が登場する短編11話。童話あり、ちょっと時代を感じさせる話あり、フランスが舞台になったり。様々な名前の猫が登場する。クレというのはフランス語の鍵と言うことなのね〜間違えて日本まで連れ帰られ、再びフランスに戻り同じ名前のクレと二匹で暮らし、そのうち小さなクレが増えて〜〜夢いっぱいで幸せな気分になります。2017/05/21
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