内容説明
動乱の幕末維新。若き薩摩藩士・五代才助―のちの五代友厚は、藩の命を受けて長崎海軍伝習所に学び、世界を知った。勝海舟、坂本龍馬、高杉晋作、貿易商のグラバーらと知己を得、薩英戦争後に若き留学生を連れて渡欧。自国に西洋社会の豊かさをもたらすべく、維新後は武士を捨て、士魂を持つ実業家として活躍を始める。大阪を“東洋のマンチェスター”にする夢を描き、大阪商法会議所などを設立し、日本経済の基盤を築いた風雲児の豪快な人生を描いた傑作歴史小説『士魂商才 五代友厚』を改題し、装いも新たに刊行!
著者等紹介
佐江衆一[サエシュウイチ]
1934年、東京・浅草生まれ。日本橋の丸善に勤め、その後コピーライターとなる。60年、短篇「背」で新潮社同人雑誌賞を受賞し、作家デビュー。90年、『北の海明け』で新田次郎文学賞、95年、『黄落』でドゥ・マゴ文学賞を受賞。同作はベストセラーとなり、TVドラマ化、舞台上演される。96年、『江戸職人綺譚』で中山義秀文学賞を受賞。古武道杖術師範、剣道5段(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
41
元武士とは知りませんでした。日本を西洋社会化しようとしたのは渡欧したからなのですね。士魂を忘れない近代人という印象を受けました。2022/05/08
mitsu44
17
朝ドラと共に出た一冊よりこちらの方が深く面白かった。商都大阪を築いた五代友厚の骨格は薩摩武士であり、薩摩で疎まれながらも、富国強兵策をとる日本の近代化を支え、大久保利通に要職を打診されながらも大阪のために力を尽くした。 朝ドラでは描かれていないが無類の女好きでたくさんの妾と子を成した。 欧州列強各国を実際に歩き、小国ベルギーの在り方に感銘を受けてそれを目指そうとしたところも面白かった。2016/04/09
タツ フカガワ
14
薩摩藩士で後に「東の渋沢、西の五代」と称された実業家五代友厚の半生を描いた作品で、幕末動乱期を薩摩藩側から見る風景が面白かった。前に読んだ木内昇『万波を翔る』のパリ万国博覧会での幕府と薩摩藩の確執の場面が本書にもあって、こちらでは外国局田辺太一、ちょっとシャンペンの飲み過ぎ。2021/01/28
るるぴん
6
高橋氏の五代本よりもかなり詳しい五代像。氏の日記を紐解いているから?彼ははかなり山っ気があったのかな?武士というよりも商売人気質が勝り、薩摩藩では浮いた存在で、金回りが良すぎたのも疎まれたのかも。都合良く便利に使われた感じもするが。グラバー、モンブランと同等に商売出来ているのは外国人に物怖じしない五代の人間的魅力もあったのだろう。富国あってこそ強兵を早くから意識していた人。妾の数も半端なく、明治時代は日本の男が最も輝いていた時代かもしれない、と感じた。2021/02/01
よっしん
2
維新後の大阪を商都として立ち上げた五代友厚、その生涯を伝える本を読んで、幕末の時代に早くから世界に目を向けて、かつ様々な改革を実行していく行動力がすごいと感心しました。できれば大阪の改革の話をもっと詳しく読みたかった。2016/08/18