内容説明
八代将軍・徳川吉宗と尾張藩主・徳川宗春の対立が水面下で繰り広げられる元文の世。尾張徳川家の甲賀同心組頭・左内は、幕府転覆を謀る宗春の願いを叶えるべく諜報活動に命を賭けていた。長崎出島に計略成就の鍵があると睨んだ左内は、愛弟子の女忍び・雪野を長崎の遊郭に太夫として潜入させる。そこで彼女は蘭館医師・ヘンドリックと出会う。忍びとして主の夢を叶えるために生きていた娘が、女として異国の男を愛してしまい―。第六回角川春樹小説賞受賞のデビュー作にして、第三回野村胡堂賞受賞作、待望の文庫化。
著者等紹介
鳴神響一[ナルカミキョウイチ]
1962年東京都生まれ。中央大学法学部卒業。2014年『私が愛したサムライの娘』(受賞時タイトル『蜃気楼の如く』)で、北方謙三氏・今野敏氏・角川春樹の全選考委員満場一致により第6回角川春樹小説賞を受賞しデビュー。同作品にて、2015年第3回野村胡堂賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はつばあば
68
吉宗と尾張藩主宗春の「あり得たかもしれない歴史の別の流れ」に思わずネット検索。時代考証のうえに成り立つ物語なんだけど、贅沢を云わせてもらえれば、出島でのヘンドリックと女忍びの雪野を、主か別物で書いて欲しかったかな(^^;。異人さん・・日本は島国だからかなかなか異人さんに馴染めないところがあるけれど・・。昔の人の愛を貫く勇気は凄いと、蝶々夫人やお稲さんを思い出してしまいました(#^^#)2017/05/27
くたくた
49
鳴神響一氏デビュー作品。鎖国の時代、将軍吉宗と対立した尾張藩主宗春とその配下の甲賀武士、対日貿易を独占していたオランダと、大国スペインの海外領土と極東貿易を巡る野心。そこによるべを持たないスペインとオランダの(新教と旧教の)混血の士官ラファエルと、過酷な境遇を、その血と師・左内ゆえに甘受する忍びの雪野。海洋冒険小説のエッセンスまでちょこっと混ぜ込んで、時代小説ながら、当時の出島の風物や海外情勢など、スケールの大きな舞台を設定。日本人の意識に登りにくい、日本史と世界史の教科書の狭間を忍びの矜持と純愛で描く。2022/10/29
ゆうら
4
忍びの者の立場が悲しい。時代の隙間にもしかしてこんなことも、という話を描いている。2人の想いが最後まで全うできればいいな。2020/07/19
読書好き・本屋好き堂
2
大好きな鳴神先生の原点とも言えるデビュー作にして、第六回角川春樹小説賞受賞、第三回野村胡堂賞受賞作✨ 先生の作品のキャラは、いつも愛して止まない素敵な人ばかりです😆 甲賀忍者の左内が最後まで、カッコ良すぎて、キュンキュンしました💕激しい戦いのシーンもあり! また、その左内の愛弟子の女忍び・雪野と蘭館医師・ヘンドリックと出会い、女として異国の男を愛してしまうという、切なさと激しさと😆 デビュー作とは思えない、盛りだくさんの濃密な素敵な作品でした✨2022/06/24
ぺしみち
2
まあまあかな。2017/05/16