内容説明
奔放な性格ゆえ播州龍野藩を追放された、若き剣の遣い手・毬谷慎十郎。彼はひたすらに強い相手と闘うことを夢みて、故郷を飛び出した。慎十郎の想いはただ一つ―生きること、すなわち力あるものと刀を交わし、己の強さを確かめること。しかし、道場破りのため江戸三大道場のひとつ練兵館の門を敲くも、そこで女剣士・咲にまさかの完敗を喫する。一方、大塩平八郎が窮民救済を訴え出た反乱が起きてからこっち、江戸では世情不安が続き、「黒天狗」と名乗る一党による打ち毀しが後を絶たず…。虎のごとく猛々しい男の剣と生き様が、江戸の町に新風を巻き起こす。装いを新たに刊行。
著者等紹介
坂岡真[サカオカシン]
1961年新潟県生まれ。11年の会社勤めを経て文筆の世界へ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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海猫
82
主人公が一本気で直情型、それでいて滅法強いとなると、読者としては行動を追っていくだけで楽しい。簡潔な文章も乗りやすく脇キャラが立っているし、テンポ良くあれやこれやと出来事は起こるし、慎十郎がその度活躍するのでまったく退屈しない。前半の天真爛漫さに比べると、後半のはっきりした敵との対決ドラマは急きすぎな印象。主人公が世の中の苦味を知って成長するパートでもあるので、もうちょっと紙幅が欲しかった。でも文庫一冊でこれだけ盛り込んでくれたら十分なサービス。痛快だし、さらなる味が出そうなのでシリーズを継続して読もう。2016/04/28
ベルるるる
19
シリーズ1作目。主人公とまわりの登場人物の紹介という内容。泣き虫の浪人になりたての男が主人公。2017/12/01
ぶんぶん
13
やはり著者の若かりし書き方、何でもかんでも詰め込み過ぎ、歩くそばから問題が起こる。 慎十郎の強さが今一判りづらい。 もうちょっと余裕を持って、荒唐無稽に暴れさせたら良かったと思う。 少し説明調が多いかな。 書き直しもしてるみたいなので続きを読んでみたいと思います。2016/08/19
蕭白
6
悪くなかったです。2023/11/27
のんぶぅ
2
自由奔放で束縛を嫌う風来坊、木刀を振れば肩が外れ、大口で笑えば顎が外れ、しかも涙もろい慎十郎、勘当の嘆願を藩に受理され浪人に。腕試しの道場を巡る際、咲という小娘に完敗しへたり込む。丹波道場の一徹(咲の祖父)にも叩きのめされ、全て無から始めようと。藩の江戸家老(静乃の祖父)の命を受け、野垂れ死寸前に食物と水を恵んでくれた、托鉢僧の恩義に報いるべく、また、吾作に受けた恩を返さねば。一徹から「後の先じゃ」「勝ちに行かぬことじゃ」「風をもって刀となす」「生きて戻ってこい、約束じゃ」武芸者の血を滾らせて立ち向かへ2016/01/16