内容説明
南朝方との和平と神器奪還のために、吉野へと潜入を図った忍者頭の村雲兵庫と日野幸子だが、「第二の番人」により正体を見破られ、幸子は楠木一派に囚われてしまう。兵庫は傷付きながらも、忍びの秘技を駆使して幸子救出に向かう。一方、吉野勢力の一掃を図る伊勢守貞親は、第三の忍・戸隠の忍軍を放ち、将軍暗殺のため不遇となった赤松一族を密謀に走らす。だがそれは戦国大乱を招きかねない策だった―。二つに分かれて戦う皇統に平和は訪れるのか。泰平の本当の意味とは?気鋭の若手が描く室町伝奇巨編全二巻、新たなる歴史冒険小説の登場!
著者等紹介
武内涼[タケウチリョウ]
1978年生まれ。群馬県出身。早稲田大学第一文学部卒業後、映画・テレビの制作に携わる。第17回日本ホラー小説大賞の最終候補となった作品を改稿した『忍びの森』で2011年、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
レアル
56
読んでいて物語的にも面白いし、登場人物も生き生きしていて痛快な心持で読了。ただ史実が邪魔をして、かつ伝記モノ故か戦いの無茶ぶりや、ストーリーも後に起こる史実を意識し過ぎる為か展開にも少々強引なような気がする。しかし物語のバックグラウンドにある歴史背景やその描写は素晴らしかった。2018/04/11
さつき
26
下巻は、闘いから始まるので息もつかせない怒涛の展開でした。ただ物語が盛り上がっている時に現代の視点が入るのが、少し邪魔に感じました。後南朝をテーマにしている作品なのでそこから水戸史学が生まれ、南朝正統論につながり、皇国史観へという著者による歴史観を書きたいようでした。忍者たちの攻防を楽しんでいる最中だと、ちょっと水をさされたように感じてしまいます。そして、まだ続きがありそうな結末でした。これから応仁の乱も描く予定があるのでしょうか。2016/03/16
けやき
25
南朝方の最後が悲しい。ひと段落したようで、室町時代はココで安定しないんだよね。その後の動乱に日野幸子と村雲兵庫も巻き込まれる続編がありそうな感じの終わり方でしたね。期待かな。2016/07/10
豆乳くま
13
うーん、全く面白くなかった。日野幸子、村雲兵庫のキャラはとても良かったのに流れが悪く乗れなかった。とても残念。2016/01/02
やまかぶ
7
敵地、吉野へ乗り込み、後南朝方の番人たちとの対峙から続いています。映像畑出身の人らしく、戦闘場面もさることながら、当時の自然に思いを馳せるような動植物の執拗な描写が印象的。本を読むことはその世界を旅すること、と確たる信念を持って書かれている気がします。味方側である北朝も一枚岩でないところが見え始め、第三勢力として戸隠忍者も参戦し、様々な陰謀が絡み合っていきます。太平記は司馬遼太郎先生の残した呪縛か、広く手がつけられていない印象ですが、なかなか面白い時代であると思いました。久しぶりに吉川英治を読もうかな。2016/03/05