内容説明
禁闕の変(一四四三年)で、後南朝に三種の神器の勾玉が奪われて十四年。「自天王」を帝と奉ずる吉野方は、謀将・楠木不雪の下、鎌倉公方の叛逆を足がかりに、足利義政と北朝への反攻を開始した。一方、日野家の賢妹・幸子は、姉・富子の不幸な結婚と権力拡大に血道を上げる兄・勝光に言い知れぬ不安を覚えていた―。迫る大乱を防ぐため、古より忍を遣ってきた隠密伝奏・近衛関白と一休禅師が遂に立つ。父の死で天皇の忍軍「村雲党」の頭へ帰参した村雲兵庫は、隠密伝奏の命を受け、吉野の和平派との接触と神器奪還のため、日野幸子らと共に、決死の潜入を試みる!室町伝奇巨編全二巻、刊行!!
著者等紹介
武内涼[タケウチリョウ]
1978年生まれ。群馬県出身。早稲田大学第一文学部卒業後、映画・テレビの制作に携わる。第17回日本ホラー小説大賞の最終候補となった作品を改稿した『忍びの森』で2011年、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けやき
34
室町時代が舞台の伝奇小説。後南朝に神器の一つを奪われた禁闕の変から十数年。後南朝の倒幕計画を覆し和睦して太平の世を築くため、日野幸子と村雲兵庫が敵地に乗り込む。史実に近いのは、前に読んだ岩井三四二さんの「悪党の戦旗」などの方かもしれないけど、なかなかに面白い展開で、本作の下巻も気になります。2016/07/07
豆乳くま
25
室町時代、南朝北朝に分かれた朝廷と幕府の思惑で日野富子の妹でありなから朝廷側の間者となり的の中に送り込まれた日野幸子と彼女を守る天皇の忍軍・村雲党の若き党首村雲兵庫の命がけの潜入!話が複雑ででかい。そして読みづらい。しかし幸子の人柄と心の強さ、兵庫の女に弱いが強くて男前、なのに未だロマンスなしな硬派なストーリー。敵の懐に入れずどうなるのか、で下巻に突入します。2015/12/27
さつき
22
後南朝が吉野で勢力を持っていた時代が舞台です。この時代を取り上げた作品は少ないので読んでみたくなりました。先行作品は、幻想的な面が強いものが多い印象ですが、本作は冒険活劇っぽいです。日野幸子、村雲兵庫の一行が自天王の本拠地へ潜入しようとします。絶対絶命な場面で下巻に続いていて、これからどうなるのか気になります。2016/03/07
aloha0307
12
自称?歴史オタクも 後南朝については押さえてなかったことを反省。 こんなにも哀しい歴史があったのだ。室町幕府打倒を目論む後南朝と、それに抗う朝廷の忍びの死闘を描く。楠木正成の末裔、足利義教、日野富子とこう絡んでいくのか...すごく興味深い。この”裏”の歴史 今後どっぷり嵌ってしまう予感が確かにある。2016/06/11
chatnoir
9
戦国時代はドラマや小説、漫画で大分身近になったけど、南北朝時代はあまりなじみがないので、ちょっと時代背景を含めて入りにくかった。人物は魅力的だけど...う~ん。あんなに苦労して潜入したのに、仕事前の女遊びであっさり台無しに...。命を預けてた幸子さんお気の毒。2016/05/27