内容説明
「実録怪談」が存在するのは、日本だけではない。ヨーロッパにもアメリカにも、そしてロシアにも南米にも、身の毛のよだつ話は尽きることがない。文化によって恐怖の感じ方は違っても、生きている人間に迫ってくる《あの世からの叫び》は必ず存在するのだ。「ソ連時代の連続殺人事件の被害者の亡霊」「グァムに出現する旧日本兵」「リューベックの歴史資料館で落ち続ける男」…。俊英・黒木あるじが取材した、海外ホラー奇譚の数々がここに集結。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
147
黒木あるじさんの「怪の~」シリーズの「世界の怪談」をテーマに編まれた一冊ですね。やはり外国は日本の様に湿っぽくなく死がテーマであっても陽気な雰囲気がありますね。でもこれは中々に不気味な話。『国籍不明』日本青年があるアフリカの村に行った時の体験談で、村人にこの村の名前を出して称賛した所「お前は正しい男だ」と言われた。昨年ここを訪れたアメリカ人がアフリカは素晴らしいと言ってこの土地の名前を覚えようとしなかった為に大地の精霊が怒った。それで男は名前を奪われたという。突然記憶を失った男が今も入院中だと後に聞いた。2020/07/05
HANA
55
実話怪談集。基本国外を舞台にしたものが中心。この人、引き出しが多すぎだろう。恐怖の差異を中心とした。という事だが、話の原因は幽霊等今までの実話怪談と軌を一にしているものが多いように感じられた。人間、基本的な所では変わらないのか、集合的無意識的なものなのか。興味深いのはそれに対する各々の反応。差異の中心はこちらであるかな。そういう意味では「論争の原因」が一番本書らしくて面白い。他には日本の怪異に対する各国の反応的なものも、彼我の差がはっきりして興味深く読めた。怪談より比較文化論的な興味で読める一冊だった。2015/07/25
ネムコ
33
幽霊はどこの国にもいる。でも感じ方や解釈は全く違う。ちょっとアンダーグラウンドな外国の裏側を覗けた気がして面白かったです。2016/06/10
ラルル
30
異国の怪談話。実はあまり期待していなかったのですが、いやいや面白かった。個人的にはメキシコのまじない系の話が好きですね。ラストのちょい話もとても興味深かったです、同じものを見ても国が違うとその正体も変わってしまうのね2016/02/25
澤水月
29
まず「全話、外国縛り」が出来ていることに驚嘆敬意。山ほど聞いて絞り込むタイプ、どれだけのストックあるのか。国柄で怖がるポイントや独自の習俗に纏わる不思議話あるのが実に興味深い。ルパシカやフリーダ・カーロも纏ったテワーナ。またお国で違う「忌み数」の話などどれも深く心に残った。和のモノが別の意味を持つ夢の霊柩車、花のある部屋も文化の差を味わえる。某国の殺人、アチラでなく驚く。ラストが文化的に?侃々諤々に終わるのも愉快。本書は話名を見て中身を即座に思い出せる昨今珍しい怪談本になると思う。溜まったら是非また一つ!2015/07/20