内容説明
日本全体が少子化で人口減に悩まされる中、東京都江東区豊洲は、空前の人口増と再開発に沸き立っている。新たに設置された豊洲署生活安全課の女性刑事・岩倉梓のもとに持ち込まれる事件の数々。“児童ネグレクト”“貧困老人の孤独死”“震災詐欺”。生まれつつある街の中で、梓は自分に出来る仕事を、悩みながらも一歩一歩模索していく…。本格派・福田和代が描く、新世代警察小説。
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こば本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
米太郎
30
・私たちに何かあった時に1番身近なのが生活安全課だろう。1つ1つは小さな犯罪でも市井の人には大事。だからこそ、人の優しさに漬け込むことや、私利私欲のためにでっちあげはなあとなった。2023/08/01
MOKIZAN
25
彼の地”豊洲”で"生活安全"、まさに旬なタイトルである。といっても初版は5年前らしいが。初読み作家さんだったが、なかなかこと入りに物書く人だなとの印象を持った。確かに読後、とくに印象深い作品とかの覚えは無いんだけど、結構充足感を持てた。勢い任せの開発で地足固まらぬ寄せ集め場、どこか暮らしが馴染まない、地に足がついていないような人達が起こすトラブル。対処する主人公は、警視庁刑事というより、小学生の頃抱いてた”おまわりさん”のイメージに近いように思った。続刊あればきっと読む、適当に異動になっていてもいいけど。2016/12/20
kaoriction@本読み&感想 復活の途上
21
「橋向こうに落ちる。」冒頭一行に掴まれた。地元が描かれているので気になっていた作品。舞台となる豊洲周辺MAPには我が家も組み込まれて、実に「個人的」な臨場感。冒頭の「落ちる」感覚、朝凪橋の感覚、周辺描写は文句ナシ。豊洲署生活安全課の女性刑事・岩倉梓のもとに持ち込まれるのは事件ではなく「事案」。街が抱える問題や住む人々、ここへやって来た人々の生活が、いまこの街に住む私には全てがあまりにリアルで、小説を読んでいるというよりも、「ねえ、聞いた?この前、あそこで…」と誰かから話を聞くような感じだ。シリーズ化希望。2015/08/26
香翠
19
詐欺やストーカー、各種の市民相談なども扱う部署で、私たちの生活の中で何かあった時に一番お世話になる(?)生活安全課の刑事さんが主人公。派手な逮捕劇やアクションはなかったけれど、日常の生活に結び付くようなストーリーで読み易かったです。それと共に、目立つわけではないけれど、これは私たちが安心して暮らせている縁の下の力持ちの仕事なんだなあと感じました。2023/03/10
マサキ@灯れ松明の火
16
ネグレクト、孤独死、ストーカー、震災詐欺など地域に密着した事案を扱う生活安全課。岩倉梓は、そんな事案に真摯に向き合う刑事。紅一点だから…地味な事案しか任されないのか?と悩みつつ、日々の事案に忙殺される。果たして…本当にそうなのか?刑事的に地味な事案であっても、被害者には重大なことである。安易に扱えば…助かる命も失われかねない。派手に見える事案を扱う警察官だけが偉いわけでもない。地味な事案であっても、真摯に向き合う梓さんのような警察官も殺伐とした現代には必要不可欠な存在ではないのだろうか?2015/08/23
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