内容説明
海辺にある養護施設・愛生園では、「ワケあり」なこどもたちが暮らしている。そのなかのある少年は、クールに言い放つ。「何が夢かって聞かれたら、この世界をぶちこわすことだって答えるね」。ままならない現実の中で、うつむくことなく生きる彼らに、救いの光は射すのか―。個性的な青春小説で人気の著者が切実かつユーモラスにつづる、少年少女たちの物語。
著者等紹介
川島誠[カワシママコト]
1956年東京都生まれ。83年に短編「幸福とは撃ち終わったばかりのまだ熱い銃」を発表しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
162
養護施設『愛生園』にいる子供達の話で、テーマは重そうなんですが、決して重たいというわけではないですね。養護施設での日常を子供達目線で淡々と描かれてます。子供達の入園に至って、それぞれいろいろな理由があるし、養護施設の問題もあり、いろいろ考えさせられる物語でした。道徳の授業を受けてる感じがしました。ただひとつだけ言えるのは、養護施設から、卒園していく子供達には、苦労をバネにいっぱい幸があってほしいと思います。2019/12/28
ケイ
115
読みながら、これを読んで私はどうしようというのだろうかと思っていた。孤児院に暮らす子供たちの悲惨さも、そこに入るまでのもっとひどい悲惨さも、結局自分には関係ない。知るにはノンフィクションを読めばいいのだろうし、本当に関心があるなら彼らに本気で手をさしのべるべきなのだ。実際にこういった施設で育った人たちが読めば、所詮フィクションだろ、実際は…となるのかもしれない。ただかわいそうとか、なんて悲惨なのって思いながら読むことはむしろ冒涜かと思った。でも、やはり読むべき本で、色んな人が手にとればいいなと感じた。2016/04/15
ネギっ子gen
34
砂丘の高級住宅街に建つ、ミッション系の児童養護施設・愛生園を舞台に、その施設で暮らす「ワケあり」な少年少女たちの、それぞれの思いが8章に分け語られる――。その一人は、思う。<園にいる資格は、たしか、18まではあるってことらしいけど/ちゃんとした家庭がないガキたち、自分のいる場所がこの世界のどこにもないってやつだけに与えられる資格>と。BGM【主は来ませり】♪<諸人こぞりて、迎えまつれ 久しく待ちにし、主は来ませり 主は来ませり 主は 主は来ませり>。シュワッ、シュワッって、気の抜けた炭酸。みたいな……。⇒2021/05/18
nyanlay
8
内容は深くて重いのに、読後が悪いわけではない。不思議な作品。ただこういった施設は存在していて、そこで暮らす人々がいる。そう言う事実を知っておくのも必要かとは思いました。2018/01/22
逢日
2
淡々と書いてあるけど、内容は深い。大人の都合に振り回される子どもの多さよ。2022/11/07