内容説明
殺された有名宝石店の美人社長は五年前に別れた元妻だった―。佐原旬介は学者くずれのシングルファザー。バナナの自動皮むき機を発明したり金魚の品種改良にとり組んだりと、気楽な人生を送っている。しかしそんな中年ニートでも母を失った愛娘の悲しみは座視できず、にわか探偵として事件の捜査をはじめる。旬介の前に登場する謎めいた美女や魅力的な女子大生、そして昔の女たち。やがて事態は思わぬ方向へ…。中年探偵・柚木草平の前駆をなす“幻のシリーズ”、待望の新装版。
著者等紹介
樋口有介[ヒグチユウスケ]
1950年群馬県生まれ。国学院大学中退。88年『ぼくと、ぼくらの夏』でサントリーミステリー大賞読者賞を受賞しデビュー。その後『風少女』で第103回直木賞候補となり注目を集める。著書に、日本推理作家協会賞候補となった『ピース』などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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セウテス
60
柚木草平シリーズの、一歩手前の作品に当たる。いつも通りの、樋口氏特有の爽やかハードボイルド。離婚した元妻が殺されてしまい、主人公と一緒に暮らす娘の為に、事件の謎を追うという物語。この軽いハードボイルドは、くせになる不思議な魅力が在るのだが、ミステリとしてはもう少しという感じか。周りを見ると人はどんどん変わって行く、成長してるというのかも知れない。しかし小学生も高校生も、ついこの前と感じる自分が居る。そう自分は幾つになっても、かわらない奴と言われる方なのだ。樋口氏の作品は、自分を安心する事が出来る薬なのだ。2018/05/31
みすまりも
10
かなり久しぶりの樋口さんの作品。確かに柚木を彷彿とさせる、主人公の性格のめんどくささとセリフのクサさだわ(笑)読みやすいけど内容はちょっとだけ重く、自称探偵助手の萌ちゃんの明るさに救われます。2016/03/20
a*u*a*i*n34
9
本屋で見かけた樋口さんがあまりに懐かしく。ギリ平成だけどバブル時代に書かれた柚木シリーズ前の作品。樋口さんらしくたくさんの美女とタバコと緩い雰囲気。感じる面白さも主にノスタルジーだし、この作品名と装丁では手に取る人は少ないだろうなぁ。2018/03/14
蕭白
8
主人公が草平さんであってもおかしくないような物語でした。2020/04/22
秀玉
4
いろいろ読んだ樋口作品の中の一冊。自分の頭が子供なのか、若い気取りでいるのか、こんな作品が好きです。会話も良いし、ウイットもしつこくなくて良い。中年の悲哀も感じ、子供への思いもある。そして出てくるのは素敵なマダムから美人女子、聡明女子から高校生女子に美少女ときたら、読まずにいられません。内容はともかくあきさせず、いやな日々を忘れさせてくれます。あ~私も美人に囲まれたい。2021/07/29