内容説明
弥生も半ばに差しかかり、品川宿は、連日花見客や汐干刈客で大賑わい。そんななか、京へ絵師の修業に出ていた三吉が「立場茶屋おりき」に帰ってくるとの知らせに、女将のおりきは胸を躍らせていた。一方、仲人嬶のおつやに紹介されて以来、位牌師の春次のもとを度々訪れていた茶立女のおまき。春次の連れ子・お京はなかなかおまきに心を開かず、周囲をやきもきさせるが―。桜鯛、筍、菜の花…季節の料理と人情味あふれるもてなしで、訪れるひとを心底幸せにする大好評シリーズ第十四弾。
著者等紹介
今井絵美子[イマイエミコ]
1945年、広島県生まれ。成城大学文学部卒業。画廊経営、テレビプロデューサーを経て、執筆活動に入る。98年「もぐら」で第16回大阪女性文芸賞佳作。2000年「母の背中」で第34回北日本文学賞選奨。02年、第2回中・近世文学大賞最終候補作となった『蘇鉄のひと 玉蘊』を郁朋社より刊行。03年「小日向源伍の終わらない夏」で第10回九州さが大衆文学賞大賞・笹沢左保賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とし
60
立場茶屋おりき「品の月」14巻。おりきさん、三吉が帰ってくるのでウキウキ、なっめが養女にもらわれあすなろ園を出ていき嬉しくもあり寂しさも、おまきが春次の元へやきもき、お染、亀蔵、幾千代、小春、百世と休む暇も、心休まる暇とてないお忙しのおりきさん、みんなが幸せであれば良いのかな、良いシリーズです。2014/06/09
Walhalla
41
『立場茶屋おりき』シリーズの14作目です。供花に事欠かないようにと、在りし日の善助さんが裏庭に植えていた小菊。開花時期の違いを踏まえ、春には春紫苑、都忘、嫁菜、夏場になると姫女苑、鋸草、小車。秋には野紺菊、柚香菊、菊芋、また秋も深まると、小浜菊、浜菊、磯菊、野路菊と、さまざまなキク科の花を育てていたのだそうです。水面に浮かぶ品の月に、善助さんの尊い想いが偲ばれます。2020/07/20
はにこ
32
三吉の帰省。うんうん、善爺も喜んでいるよ。おまきの嫁入り問題。うーん、子供の心が閉ざされた理由は分かるにしても、春次がダメ男すぎないかい??子供の心配も出来ないようなのは人としてどうかと思うんだが。。なつめちゃん、良かったねぇ。あすなろ園から養子に出て、幸せになるシステムが上手く出来たら良いね。そうでないとおばちゃん、子供達の名前をこれ以上覚えられませんwお真砂と百世が茶屋メンバーに。あれっ、お染の話の時に出てきた新人小春はどうなったの?2021/09/03
ドナルド@灯れ松明の火
19
京に修行に行っている三吉がおりき茶屋に里帰りしてきた。善助の墓参りを済ませ、いっとき茶屋にはほんわかした空気が漂った。男運の悪いおまきは4人も子がいる春次との仲はどうなるのか。2020/09/23
ケイプ
13
おりきシリーズの第十四弾。おりきの長台詞や言葉遣い、料理のお品書きのくだりなど気になるところもあるんだけどでも不思議、読んでしまうシリーズです。『幸せなんてものは、人と人の繋がりの中から生まれてくるものだし、他人のために役立っているという想いの中から生まれてくるんでやすからね。・・・』謙吉もいい事言うね。2014/11/08