内容説明
「太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。/次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。」豊かなイメージを呼び起こすわずか二行の代表作「雪」を収録した第一詩集『測量船』から、『百たびののち』以後の作まで、昭和期を代表する最大の詩人・三好達治が、澄み切った知性と精確な表現で綴った全一三六篇を新仮名遣いで収録。教科書でもおなじみの「蟻が/蝶の羽をひいて行く/ああ/ヨットのようだ」(「土」)など、時を超えて、いまなお私たちの心を揺さぶる名詩の世界。文庫オリジナル版。
目次
測量船
南窗集
間花集
山果集
艸千里
一点鐘
花筐
故郷の花
砂の砦
日光月光集
ラクダの瘤にまたがって
百たびののち
「百たびののち」以後
著者等紹介
三好達治[ミヨシタツジ]
1900年、大阪府生まれ。東京帝国大学文学部仏文科卒業。在学中に詩作を始め詩壇にて高い評価を得、1930年、第一詩集『測量船』を刊行。1953年、『駱駝の瘤にまたがって』他、全詩業により芸術院賞受賞。1963年、読売文学賞受賞。1964年4月5日没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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花々
16
田舎の情景を、思うがままに詠った詩が心を打つ。垢抜けないけれども、温かみが伝わってくる。どこかで聞いたことのある、太郎の上に雪降り積む。。の詩は、何度か繰り返し読むと、短いのに、しんしんと雪が静かに屋根に降り積もる様と、その下で温かい布団で眠る子の様子がありありと想像されて、冬ならではの寒さと布団の温かさの対比が感じられ良いなと思った。2018/01/15
shio
14
『ミステリと言う勿れ』に出てきた〈雨は蕭々と降っている 〉がじっくりと読みたくて、『測量船』を探したけれど手に入らず。この文庫にはお目当ての“大阿蘇”はなかったけれど、1番好きな“雪”〈太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ〉を久しぶりに読めた。“玻璃盤の胎児”の、〈生まれないのに死んでしまった〉〈亜剌比亜数字の3〉も『ミステリ~』っぽい。しんとした静謐な情景描写と、生き物に対する素直で、どこかかわいらしい表現が目にとまる。やなせたかしのあとがきにもあるように、純粋な童心が見える。2020/06/03
さゆき
7
美しい〜。冬の詩が特に美しく、表紙の白がよく合ってる。「祖母」の詩に祖母とのあたたかな思い出が蘇った。「この庭で」も好き。2018/11/16
青緑
3
一番気に入ったのは「夜」。二番は「灰が降る」。最初は好みじゃないかもと思ったけど、音が良い事に気づいてハマった。声に出さないでも頭の中に音を響かせる感覚で読むと心地いい。2019/01/05
nitti
2
太郎を眠らせ〜のひと、ゆかりがある人だと知って読んでみた。詩というもの自体は苦手だけれど、美しくはっとするような表現もあって好きかも2017/02/28
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- 和書
- 宇宙一ずぼら絶品めし