内容説明
三井銀行で出世街道を歩む井深雄之介の次男として、明治二十一年に誕生した享介は、両親でさえ恐れを抱く怜悧な若者に育った。一高では同級生・九鬼周造と共に勉学に励み、吉原にも出入りしていた享介。父に投機家としての才能を見出され、相場師の道を歩み出した彼の行く手には、天国と地獄が待ち受けていた…。角川春樹が発掘した超大型新人!日露戦争を背景に、魔王と呼ばれた天才相場師を描く歴史ロマン。
著者等紹介
波多野聖[ハタノショウ]
大阪府出身。一橋大学法学部卒業後、内外の機関投資家で日本株運用を担当。『銭の戦争(第1巻)魔王誕生』で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
126
この著者のほかの作品が結構読ませてくれたので、この10巻物を読んでみようと思いました。主人公の父親のところから始まり、高橋是清たちと一緒に日露戦争の戦費の調達について奔走します。その主人公は、相場をものすごく勉強して、自分一人でさまざまな情報を集め資産を積み上げます。哲学者の九鬼周造や、歴史上の人物もいろいろ出てきます。このような物語は大好きです。2016/08/19
koba
103
★★★☆☆2015/06/07
活字の旅遊人
51
対ロシア戦争に向かう日本の金策から始まる歴史経済小説。主人公、井深享介は素質と教育により、若き相場師になっていくようだ。高橋是清、九鬼周造、深井英五などの実在した人物を出しながら話を進めていくのだが、この若き天才相場師が本当にいたような気がしてきてしまう。こんな高校生、いたらすごいし憧れる。金融や政治一辺倒ではなく、当時の学生生活、更に吉原遊郭の話や茶道の話も入ってきて、飽きさせない。ユダヤマネーの話や、鈴木商店の成金ぶりについての話などは信じてしまうよ! この先長いようだが、読んでいきたいと思った。2021/07/21
まつうら
39
日露戦争前後の時代に起きた出来事をもとに、明治の経済人たちの活躍を描く。戦争に負けたロシア人が高橋是清に刺客を差し向けるというのは、当時あってもおかしくないエピソードだ。騎兵隊の残党を名乗る工作員たちが高橋を警護するというのも興味深い。高橋は昭和の二・二六事件で惨殺されるが、これもロシア人の陰謀なのかも? 続編に期待を持たせる展開だ。それと、凄腕の相場師が登場するは、もはやこの著者の定番だ。鈴久を破った若干18歳の井深享介が、これからどんな相場師に成長していくのか? 実在した相場師たちとの絡みも楽しみだ!2022/06/05
Walhalla
31
明治時代の相場師のお話しです。 実在の人物がたくさん登場している(らしい)のですが、歴史に明るくない私は、前半は全く話に付いていけず、本編を読んでいる時間と同じぐらいの時間をかけてWikipediaを検索するハメになりましたが、これを機に勉強できると思えば楽しく読めました。著者は株式ファンド・マネージャーとしても活躍された方だそうですね。続編も楽しみです。2017/10/06