内容説明
七夕の笹竹に短冊を結びつけることを「願の糸」という―立場茶屋おりきでも、みずきらに交じって先の震災で親兄弟を失った子供たちが、短冊に各々の願い事を認めていた。そんな折、おみのが暇をもらいたいと言い出した。どうやら人に言えない深い理由があるらしい…(「願の糸」より)。表題作ほか「夏の果」「走り蕎麦」「柳散る」の全四話を収録。市井の人びとの優しさと人生への希望、そして季節の美味しい料理…。書き下ろしシリーズ第九弾。
著者等紹介
今井絵美子[イマイエミコ]
1945年、広島県生まれ。成城大学文芸学部卒業。画廊経営、テレビプロデューサーを経て、執筆活動に入る。98年「もぐら」で第16回大阪女性文芸賞佳作。2000年「母の背中」で第34回北日本文学賞選奨。02年、第2回中・近世文学大賞最終候補作となった『蘇鉄のひと 玉蘊』を郁朋社より刊行。03年「小日向源伍の終わらない夏」で第10回九州さが大衆文学賞大賞・笹沢左保賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とし
55
立場茶屋おりき「願の糸」9巻。老いの話と会席料理が随分詳しく書かれていました。三吉と善助突然の再会と善助の死辛い哀しい別れでした。2014/05/10
はにこ
34
身寄りの無い子供を預かるあすなろ園ができる。おりき、金持ちだなぁ。。新しい3人の子供が今後どうなっていくのかな。幾富士は相変わらず危なっかしいなぁ。9巻目になって、達吉の老眼?など年月を感じる。そして、ラストにはこの表紙の意味を知る。寂しくなるけど、良い最期だった。2021/06/16
えみりん☆
27
シリーズ第9弾。火事の後は地震。親兄弟を失った孤児のために養護施設を作る女将おりき。個人ではなく国としてやるべきことと思ったりするけど、採算は取れているのかと少々心配になったりして。善助さんも最後に三吉に会えたのは良かったけれど、歳だからしょうがないのだけれど、どこかうら寂しいものがあって、登場する若き女子、好いた男が出来るとすぐに孕んでしまうのはなんとも…しかも相手はろくな男ではないときている。騙されていると心の奥では分かっていても信じたい…切ないけど、心底尽く…ちょっと憧れたりします。2014/12/19
ドナルド@灯れ松明の火
13
今作は、親を亡くした子供たちの面倒を見ているあすなろ園で七夕の短冊に願いをかける。毎回亡くなる人があり切なくなる。旅籠の料理のお品書きがしっかり描いてあるが面倒で読み飛ばす。2020/09/12
ケイプ
13
立場茶屋おりきシリーズの第九弾。まだまだ続いています。七夕の笹竹に短冊を結びつけることを願の糸というそうです。誰にでも願いはありますよね。逢いたい人もいることでしょう。今回は善助が逢いたいと願っていた三吉のと再会、そして静かな別れ、「柳散る」の章がよかった。2014/05/20