内容説明
天保五年の正月、むさし屋喜兵衛の寮から火の手が上がり、焼跡から三人の焼死体が見つかった。三人は、長く結核を患っていた当主喜兵衛と、妻おその、娘おしのと認められる。一方その年の晩秋、江戸の町では殺人事件が相次ぎ、骸の傍らには必ず椿の花兵が残されていた。被害者はいずれも殺されて当然と思われるような悪名高い男たちばかり。この一連の事件に、与力青木千之助が捜査に当たる。聞き込みの末に若い娘の影を掴むが、果たしてその娘とは…。法で罰することのできない、けれど到底許しがたい罪をどう裁くべきなのか―昭和の文豪・山本周五郎渾身の傑作長篇。
著者等紹介
山本周五郎[ヤマモトシュウゴロウ]
1903年、山梨県生まれ。横浜市の西前小学校卒業後、東京木挽町の山本周五郎商店に徒弟として住み込む。1926年『須磨寺附近』が「文藝春秋」に掲載され、文壇デビュー作となった。『日本婦道記』が1943年上期の直木賞に推されたが、受賞を辞退。1967年2月14日没。享年63歳(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
matsu04
9
若い女が男を何人も殺していくという話であるが、周五郎ならではの人間への優しさに満ちた視点を感じる。2012/02/13
天笑院たか姫
4
むさし屋の寮から火の手が上がり、焼跡から三人の焼死体が見つかる。三人は、結核で長患いの当主喜兵衛と妻おそのと娘しのと認められる。その年の晩秋、江戸の町では殺人事件が相次ぎ、死体の傍らには必ず椿の花弁が残されていた。NHKドラマを思い出した。妻おその(秋吉久美子)娘しの(国仲涼子)だったと思う。 2017/01/05
たれっくま
2
岩下志麻の映画と国仲涼子のドラマ、どちらとも面白かったんで今度は原作。いくら何でも主人公が暴走しすぎのような気がしないでもないが、純粋な年頃である娘故の頑なさがこれだけ美しく描かれているのは流石山本周五郎だけあるな〜、と思った。 でもさ、男どもを手玉に取るくらいの色気って、そうそう身に付けられるもんじゃありませんぜ…。2011/04/13
Fujio Shinohara
1
若い女性が、男を次々と殺していく復讐話。山本周五郎作なので読んだ。ちょうど、テレビで、NHK制作のドラマもやっていて、国仲涼子が主人公だった。話題作だったらしいが、あまり感動できなかった。やはり、山本周五郎は、人情ものが、いいと思った。2021/01/14
犀門
1
#202★★★★☆2016/11/08