内容説明
「あなたの大切な一日、私に下さいませんか」―三十五歳の会社員・楠木葉子は、父亡き後、母と妹を養ってきたしっかり者。結婚を考える恋人もいる。そんなある日、葉子は、帰宅途中、胸を刃物で刺されて死亡した。が、一年後、山の手線で別の女性の身体を借りて、この世に戻ってきた。葉子は恋人のことを気にかけながらも、母と妹が住む自宅へと向うが、そこで待っていたものとは…。現代に生きる女性の揺れ動く心情を繊細に描く、切なく優しくサスペンスフルな傑作長篇。
著者等紹介
新津きよみ[ニイツキヨミ]
1957年、長野県生まれ。青山学院大学卒。旅行代理店、商社勤務を経て、88年、『両面テープのお嬢さん』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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菜穂子
62
毎年命日になると甦り、誰かの体を借りて自分が知りたかったこと追っていく。若くして死んだなら後に残った人達の反応もその後も興味ある。死んだら何もわからないもの!でもこのお話は甦るたびに、宿った人に迷惑をかけていないか…と益々心配事が増えていくではないか!「死んだ時に誰が笑っているか見てやる」なんて恐ろしいことを言った上司のおばあさんの話はさて置き、会いたい人には生き返って会いに来て欲しい。トンボでも蝶々でもいい。ちゃんと分かるようにサインを送って!2018/05/15
おかだ
23
う~ん、設定や流れは面白いんだけど。なんとなく登場人物に共感できず。特に妹の夏美はなんだかなあ。単純に嫌な奴だった。自分が死んだ後の世界というのは、見たくないものだなあと思った。周囲の心変わりや自分の存在感が薄れていくのを目の当たりにするのは辛い。この作品、死んだ主人公が命日に蘇る度に少しずつ人と関わり心境を変化させていくのが面白い。生きている人だけでなく死者も時と共に成長するのが斬新だった。2015/09/24
みち
22
正直、この本を読んで、自分がもし死んでも、よみがえりたくないなと思った。自分の良いように自分の物語を終わらせたいからかな。でも殺されたのだったら違うのかな。うーん、考えさせられた。2012/12/02
あつ子🌼
17
再読。新津きよみさんの本は、女性の心情を繊細に描いたものが多い。私も女だからか、時に嫌~な気持ちにさせられることもあり、故にそう頻繁には読まない。 『彼女の命日』でも、主人公の葉子を苛つかせる母や妹がキツかった。特に妹。甘えよって。 結局、死者のことは置き去りにして生者は進んでいく。でも一年に一度くらいなら、いいと思うの。 葉子ヤッチマイナァ!(キル・ビル調で)2019/10/08
yukamana
13
初作家さん。どう話が進んでいくのか予想できず引き込まれた。特に3年後と4年後は誰なのか気になり一気に読んだ。ラストは違う展開を期待してたのでちょっと残念。2018/03/23