内容説明
直径1、2光年、長さ2光年という、人類の英知を遙かに超えた巨大人工天体〈SS〉。その探査に自らの意志で向かったAE(人工実存)・HE2によって、驚くべき事実が明らかになっていった。一億年以上存在し続けている異星知性体の「老人」、生態系そのものが知的生命体である「環境生物」…。生命とは、知性とは、意識とは果たして何なのか?壮大なるSF巨編、待望の文庫化。
著者等紹介
小松左京[コマツサキョウ]
1931年、大阪市生まれ。京都大学文学部卒。61年「地には平和を」でSFコンテスト選外努力賞。64年に処女長篇『日本アパッチ族』を発表。73年『日本沈没』で日本推理作家協会賞、85年『首都消失』で日本SF大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころこ
30
超越的な強度があったのは良かった。しかし進んでいくにつれ、歴史がはじまったり、生命の誕生の場面があったり、そのうち会議がはじまりコミュニケーションが生まれたりと、日常的な意味に回収されていくのを読むのは厳しい。これ以上、我々と同じ世界を描いていても仕方がない。未完は必然ではないだろうか。2023/02/17
kochi
17
人類の理解を遥かに超えた長さ2光年の円筒体構造物SSに到達し、同じ立場の異星人達とも接触した人工実存の遠藤2号とその複製人格達は、数万年前から探査を続ける異星人である「森」の要請を受けて、それぞれの探査結果や仮説を交換する会議に参加。そこで明かされた驚くべき… と言うところで終わってしまって、堀晃との対談と瀬名秀明の解説付き。小松自身が「でも、さびしいなあ。これを書き終わっちゃったら、もう書くことがなくなっちゃう。」と対談で思わず吐露している… 日本沈没のように、若手で誰かに引き継いでほしい。2020/10/27
Makoto Yamamoto
12
完結にどのくらいかかるだろうかと思いながら読み進んだが、多分あと二巻くらいは必要ではないと感じた。 ようやくタイトルの虚無回廊が登場、しかし複素空間が出てきたり、かなり理系・文系の幅広い感覚がないと読み切れない内容となっている。 途中で終わってしまっているが、おなか一杯の内容だった。 この後はスッと読める展開になったのではないかと、思っている次第。2019/09/04
とろとろ
11
いよいよ本題で、SSの紀元およびこれからどうするかという話の途中でしっぽ切れ、あとは本人の対談による物語の予見で終わる。なんだか中途半端に誤魔化されてしまったようだ。未完なのでいたしかたないか。しかるに「日本沈没」以来、久々に読んでみて、その考え方・哲学には毎度ながら大いに共感させられた。2014/12/22
Satoshi
10
小松左京の遺作であり、集大成らしい。宇宙に現れた巨大な円筒の構造体SS。探索するのは人工知能を越えた人工実存であり、彼らが人類代表として様々な地球外生命体と交流し、SSの謎に触れる。未完であるので、不完全燃焼なままであるが、SS内では生命とは何かといった壮大な問いを思い起こさせるイベントが発生し、センスオブワンダーを刺激させられる。未完のままはもったいないので、誰か引き継いで完結させて欲しい。2021/09/03