内容説明
愛するものを大切にしたい―高校生のわたしは、学校の帰りに公園に行き、ブランコに乗るのが日課だ。ブランコのキーキーという音と慰めあうみたいに泣くのだ。ブランコが止まると風を感じる。そして明るい自分に戻るのだ(「今日もブランコと泣く」より)。変わっていくものと変わらないもの…とても愛しい大切な日々の中の心の揺らぎを繊細に描く表題作のほか、「星の並ぶレストラン」「愛を教えて」「White Love」など全十四篇。
著者等紹介
谷村志穂[タニムラシホ]
北海道札幌市生まれ。北海道大学農学部で動物生態学を専攻。1990年に発表したノンフィクション『結婚しないかもしれない症候群』がベストセラーに。91年に小説『アクアリウムの鯨』を発表。2003年、『海猫』で第10回島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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幸野進
3
現代、というと少しだけ古いだろうか。90年代の情景が描かれている、しかし内容はとても詩的。センチメンタルが溢れて混乱する。読んでよかったの?と思うような、綺麗で残酷な話ばかりだった。印象は鮮烈、けれど短すぎて、気がつくと通りすぎていた。2014/02/22
野倉夕緋
1
思春期を中心に、様々に揺らぐ気持ちを切り取ったような短編集。少し古い時代を描いている作品もありますが、そこに流れている感情は普遍的なものであり、一昔前でも現代でも人間の揺らぐ感情は変わらないのだと気付かせてくれます。小さなスケッチ集を見ているのと似たような感じで、色々な景色が断片的に流れ込んできて、重い内容の話であっても軽めに受け止めることができました。2024/01/31
あきぴー@武蔵国
1
ショートショートから短編小説といえるものまで、14編が納められた短編集です。 短い中で十分に情景が思い描けていてとても素敵な短編集だと思います。 私のお薦めは「愛を教えて」です。 ★★★★☆2006/05/24
mugi66
1
すごくセンチメンタルな短編集。 「こういうきもち、わかるなぁ」っていつかのことを思い出したり、「こんな人もこういうこと考えたりすることがあるんだろうなぁ」なんて思えてしみじみとした気分になる。 あっさりしてるけどひとつひとつどこかで落としてきていつの間にか忘れてたような情景や匂いの存在を思い出させてくれて、いい。2012/09/19
なむなむ
0
焦りや苛立ちにどうして真剣に向き合わなかったのか。自分の存在の軽さに、いつから慣れてしまったのか…。2023/07/11
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