内容説明
生涯「美」を希求し、時流や風潮に左右されない凛とした生き方を貫いた作家・立原正秋。それは、食についても同様だった。湘南鎌倉の自然が育んだ山椒や蕗の薹、薫り豊かな種々の茸、新鮮な鰯や鰆など、折々の旬の素材を、味わい尽くした日々の食卓の話。また、旅先での食への向き合い方や料理を引き立てる焼物の選び方など、食に関するこだわりの数々―。美食家の名をほしいままにした著者による、極上のエッセイ。
目次
1 食(食べものの話;あさめし ほか)
2 湘南(天下一品の店;小さな海 ほか)
3 酒(二十年来の酒;新関脇の酒 ほか)
4 旅(能登の旅;萩・長門の旅 ほか)
5 陶器(わが盃;陶工の故郷―金重素山覚え書 ほか)
著者等紹介
立原正秋[タチハラマサアキ]
1926年、朝鮮慶尚北道安東郡生まれ。幼い頃に父を失い、37年、母の再婚先・横須賀に移る。早稲田大学専門部に入学し、文学部国文科に学ぶが中途退学。「薪能」「剣ヶ崎」で芥川賞候補となり、66年、「白い罌栗」で直木賞を受賞。凛とした精神性と日本的美意識に基づいた数多くの作品を生み出すとともに、美食家としてもその名を知られた。80年、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mami
1
初めて立原作品に出会ったのはまだ10代の頃。冬の旅に衝撃を受け、貪るように多くの作品を読破しました。既に亡くなられていると知ったのは随分と経ってからでした。エッセイを読んでまた新たな衝撃。辛口ぶりがとても同一人物とは思えなかった。私自身が年を重ねて、今こうして読み直すと小説に見える繊細さとエッセイでのストレートな物言い。二つが重なり合ってこその「立原正秋」なのだと思えます。素晴らしい作家さんです。2013/08/19
ナウラガー_2012
0
武士階級の生活を救済するために栽培を奨励した/ドイツでは豚足料理が出来ないと主婦とは言えない/メスエン条約:1703に英大使メスエンがポルトガルに対してスペイン継承戦争への介入を要求した時に結ばれた条約で、ポルトガルワインの低関税が決められ英資本家のポルトへの進出が容易になった条約/ポルトガルにも闘牛はあるがスペインのように牛を殺さない/京の食べ物の美味しさは元来、貧乏公家時代からの工夫によって生まれたもので、湯豆腐などは外で銭を払って食べるものではない2021/09/27
びす子ちゃん
0
湘南に住んでいただけあって、鯵への愛にあふれている…!うれしい…!2014/07/26
徳田隆志
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食を中心に、旅、器についてまとめたエッセイ集。リズムがよく、上手い。特に食については「なるほど」と思わされることも多い。 ただし、著者の哲学というか、世の中に対する姿勢には、賛否両論あると思う。正直、こんな突っ張って生きたら疲れるだろうな。僕は料理の実用書として読んだ。 例えば……榎茸 1 味噌汁に良い 2 熱を通しすぎないことが肝心←歯ごたえを残すことが大事ということ 3 だし汁を弱火にかけ、榎茸を入れ、同時に味噌をとく 4 味噌をとき終わったら火をとめて完成 おいしそうでしょ。2012/07/31
こやじ
0
ユーモアが随所にあり、家族とのエピソードも多く、著者に抱いていたイメージが変わりました。2011/08/06