内容説明
「負けて目覚めることが必要なのだ。俺たちは日本の新生に先駆けて散る。まさに本望じゃないか」―昭和二十年四月七日、「戦艦大和」は沖縄へ特攻に向かう途中、アメリカ航空機部隊の激しい攻撃を受けた。海軍大尉・臼淵磐も直撃弾を受け、覚悟の戦死を遂げた。国を愛し、海軍を愛し、父を母を妹を愛し、文学を愛し、音楽をハーモニカを愛し、芝居を映画を愛した、二十一歳の若者のあまりに凄烈な生涯を描く、渾身の書き下ろし小説。
著者等紹介
長谷川卓[ハセガワタク]
1949年、神奈川県小田原市生まれ。現在、静岡県静岡市在住。73年、早稲田大学大学院文学研究科演劇専攻修士課程修了。80年、「昼と夜」で群像新人文学賞を受賞。81年、「百舌が啼いてから」で芥川賞候補となる。2000年、『血路―南稜七ツ家秘録』で第2回角川春樹小説賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yamatoshiuruhashi
30
ある海軍青年士官の話。自己の欲望に淡白に、目的遂行と指揮官の務めを基準に自らを厳しく律する姿に背筋が伸びる。実在の人物であるが、名のある提督ではない。4年生の海軍兵学校が3年生に短縮され戦争中に卒業、任官。指揮官の不足からスピード昇進しわずか22歳で大尉、戦死。身長163㎝の実在の一士官に代表される克己的な青年たちの死によって現代の日本は支えられた。瞑すべし。2019/08/28
スー
22
118映画「男たちの大和」で長嶋一茂さんが演じているのを見て初めて知り実在する人物ということで購入しました。文学と音楽と妹を愛し部下思いで面倒見がよく相手の長所を伸ばす優れた上官でした。有用な人材が一瞬で消滅するのが戦争とわかっていましたが大和に死に花を咲かしてやらねばというの一言で三千人を超す人が殺された事に怒りで体が震えました。あれだけの人達がどんな思いで家族との最後の時間を過ごしたのか?家族はどんな思いで送り出したのか?なぜ死ななければならないのか?海軍のメンツの為に行われた無謀な作戦だった。2019/08/15
かずお
5
★★★☆☆ なんだか淡々と読み終わってしまった。日本軍の首脳陣ってやはり無能だったのかな。2017/10/10
どらんかー
1
こういう人が居たことを忘れてはいけない2010/07/03