内容説明
「チンギス汗の覇道に終わりはない」―一一六二年秋、モンゴル高原で一人の男子が生を享けた。右手に血凝りを握り、“眼に火あり、顔に光あり”と言われる吉相を持っていた。後のチンギス汗である。十三歳で父を敵に殺された彼は、家族を守るために孤独な闘いをはじめる。幾多の苦難を乗り越え、遂にモンゴルを統一した彼の目に映ったものとは…。チンギス汗の壮大な夢と不屈の魂を格調高く謳い上げる、著者渾身の一大叙事詩。
著者等紹介
森村誠一[モリムラセイイチ]
1933年、熊谷市生まれ。青山学院大学卒。69年、『高層の死角』で江戸川乱歩賞、73年、『腐蝕の構造』で日本推理作家協会賞、2003年、第7回日本ミステリー文学大賞を受賞。推理小説、歴史小説、ドキュメントと幅広く活躍
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感想・レビュー
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姉勤
31
表題は、少年の頃互いに認め合った親友との誓い。部族の有力者の父の子に生まれ、優れた体躯と精神を宿した少年の名はテムジン。のちのチンギスカーンと尊称される男だが、その生は親友も肉親も覇業の中で斃す、血塗られた道。駆け続ける覇者は、必ず復讐と報復の達成する。強きことが正しさであり、弱きことは悪となる世界。敗者必滅のユーラシアの掟。共存はあり得ない。モンゴルの部族を統一、周辺の異民族を平らげ、数万の戦闘集団が「国」となる頃、文明も文化も先進の大国、金を滅亡寸前に追い込む。東を征服した男は未知の世界、西を目指す。2018/03/05
BIN
5
チンギスハンを描いた作品。上巻は56歳でホラズム征伐前まで。父が殺され家族ともども逃げ、力をつけ独り立ちしても襲われて妻を奪われ、さらに復活するもアンダのジャムカと対決してモンゴル統一と波乱万丈な人生を送っているのがよくわかりました。優秀な部下が集い、それに関して軽く説明されるも多いので、なかなか覚えられないのが辛いところ。チンギスハンだけモンゴルの中で経済や宗教、文化を理解しているという点が強調されてる感じがします。2022/06/01
うたまる
4
「覇道を歩み出した者には生命ある限り、途中から降りることは許されない。覇道の果てになにが待つか。チンギス自身にもわからない。行けるところまで行くのが、覇道を志した者の宿命であった」……井上靖以来のチンギス汗もの。上巻では56歳まで描かれているが、呆れるくらい戦争だけの人生。文化を育て技術を発展させることのないモンゴルは、常に他国の略奪物で国を豊かにする。即ち、戦争が国家の産業であり、経済であり、生命線だったようだ。負ければ止められるが、勝ち続ける以上、膨張するしかない。その果てを見るために、下巻へ。2014/12/22
アヴィ
1
紀元前のアレキサンダー大王に始まりナポレオンからヒトラーまで、世界帝国を築かんとした征服者は数多いるが、ユーラシア大陸の東南地域をほぼ手中に収めたチンギスフビライの親子。その二人の壮大な物語。蒙古の名もなき一部族の少年テムジンが、集い来る仲間と共にモンゴル統一から大陸制覇を目指す。チンギス騎馬軍団が通り過ぎた後には草木も残らない略奪ぶりと伝わるが、本書では人間的魅力に溢れたチンギスによる統治と、意外なほどの地元民族の抵抗が描かれる。2025/01/15
しんた
1
名前覚えるのが大変・・・2009/05/02
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