内容説明
信長勢による美濃攻略が膠着し、小牧に首府を移転させた年、足軽頭・木下藤吉郎は、生涯の賭けに出ようとしていた。小兵のため、戦で手柄を挙げることができぬ藤吉郎は、槍をもたぬ戦いを自ら選んだのだ。次々と東美濃の豪族たちを取り込み、手柄を立てる藤吉郎。だが、その活躍ぶりは、敵はおろか味方からの思わぬ陥穽を呼ぶことに…。幾度も信長の怒りを買いつつ、稀代の軍師・竹中半兵衛と出逢った藤吉郎は、ついに城盗りに乗り出す。傑作書き下ろし時代長篇。
著者等紹介
岡田秀文[オカダヒデフミ]
1963年東京生まれ。明治大学農学部卒業。99年「見知らぬ侍」で第21回小説推理新人賞を受賞。02年『太閤暗殺』で第5回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞
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感想・レビュー
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巨峰
67
これは若き日の秀吉の話。まだ織田信長に十分に認められていなかった美濃攻めの頃の秀吉を一冊を使ってしっかり描いた。妻おね、弟小一郎、蜂須賀小六、竹中半兵衛などの登場人物も嬉しい。恐怖に戸惑いながらも、それでも、出世を求めようとする秀吉が魅力的だ。敵地の農民に対する思いやりが、この小説の秀吉の好感度を高めている。手垢の付いた人物・歴史的事柄を新鮮に描くという力量において、岡田秀文さんは非常に優れている。2018/09/28
糜竺(びじく)
19
美濃を攻め取るまでの秀吉(藤吉郎)を描いた小説。2022/06/13
タリぃ
2
美濃攻めを秀吉に焦点を当てて描いている。人間味あふれる秀吉の苦悩が描写されていて、面白い。2016/04/27
Kohei Fujimoto
1
屈折しますわなぁ。でも異例な出世、普通はあり得ないからすごいですね藤吉郎。美濃攻めまでの物語です。佐々がかなり悪役ですね。2013/07/10
ほにょこ
1
秀吉や竹中半兵衛など私が抱いていたイメージとは一味違う人物像で描かれていてそれはそれで楽しめました。 歴史上の有名な人物が主人公の場合どうしても先が読めてしまうので、いかに過程を面白くするかというところがポイントだと思いますが、本書はなかなか工夫されていると思います。2012/05/30