内容説明
“とびっきり旨い料理と旨い酒がここにある”―こだわりの末に手に入れられる食物の美、飲み方に食べ方、酒と肴についての話。英国で楽しむポオチド・エッグ、アメリカで通った酒場、そして広島の蛎、能登の岩海苔、甲府の鮠の煮貝、長崎の唐墨に近畿の松茸の話…。旨いものを求める旅に終りはない。吉田健一が守り通してきた食と酒への古びないポリシー。幸福な食エッセイ集。
目次
1 美味求真(食物の美;旨いもの ほか)
2 酒と人生(酒と人生;飲む話 ほか)
3 旅の食物誌(酒を道連れに旅をした話;旅と食べもの ほか)
4 女房コツク論(満腹感;胃の話 ほか)
著者等紹介
吉田健一[ヨシダケンイチ]
1912年生まれ。評論家・英文学者・小説家。吉田茂の長男として生まれ、少年期を当時外交官だった父とともに海外で過ごし、ケンブリッジ大学に学ぶ。戦後、イギリス文学史を記した『英国の文学』で注目を浴び、『シェイクスピア』で読売文学賞、文芸評論賞、『日本について』で新潮文学賞、『ヨオロッパの世紀末』で野間文芸賞、『瓦礫の中』で読売文学賞小説賞を受賞する。77年没
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感想・レビュー
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Shoji
40
吉田健一さんの食に関する随筆です。ご存知の通り、父は吉田茂です。間違いなくセレブです。戦前戦中戦後の激動の時代に生きた人ですが、そんな時代に日本全国、いやワールドワイドに旅行して旨い物を食べてたわけです。高級食材料理が次々と出てきました。きっと、口の肥え方も庶民とは段違いだったろうなと思います。セレブって凄いな。本の感想はと言えば、思いの外、関西贔屓だったのが好感でした。2022/01/13
マッピー
21
日々忙しく外で働く男性陣のために、一日六食主義を採用すべきであるとおっしゃる健一氏は、今ならば即離婚ですな。 朝食を早めに食べて、10時に食べ、昼食を食べて、三時のおやつ(鱒鮨とかローストビーフを食わせろと言っているが)を食べ、晩ご飯を食べて、夜食を食べる。なぜ太らん、吉田健一。”お上品はいいことだというのが疑問で、古今東西、現在から未来に掛けてまで、お上品が他人に愉快な印象を与へるといふことはあり得ない。これは自分に対する気どりにすぎない”だからたくさん食わせろと言っているのだが。そして酒は必須。2021/05/23
たまきら
12
全くボンボンめ。にやりとさせられる知性あふれるウィット。う~んかっこいいなあ。20代に貪るようにこの人の本読んだ。でも、卒業かな。2015/08/21
Ex libris 毒餃子
8
他の文献で読んだことがあるものもあった。吉田健一を始めるにはちょうど良いかもしれないが、旧仮名遣いに戸惑うかも。それも味ですが。旅と酒についての名文。酒の肴に最適です。2015/10/05
食物繊維
5
食いしん坊って素晴らしいなぁという感想です。 他の出版社からでている本と被る内容もありますがそれでも美味しそう。駅弁の描写がお見事でお腹が減ってきます。食堂車のお話では獅子文六さんの作品を思い出したりしました。それにしても戦争中は本当にひもじい生活だったんですね。雑炊食堂の味は現代では想像するのは難しいです。洋酒と日本酒のそれぞれ良いところが書かれているのは下戸の自分には興味深く楽しかった!2024/11/18