内容説明
日常のどこかに口を開けて待っている、悪意に満ちた陥穽。わずかなほころびから生じる、人間関係のゆがんだ綾―。女流作家が贈る色とりどりのミステリー・ワールド。全九篇を収録した傑作アンソロジー。
著者等紹介
結城信孝[ユウキノブタカ]
東京都生まれ。立教大学経済学部卒業。ベースボールマガジン社、内外タイムス社の記者を経て、90年以降フリー。各紙誌上にて評論活動を続ける
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感想・レビュー
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星落秋風五丈原
20
結城信孝編。学生時代に通いつめた喫茶店にしたたる悪意を描く恩田陸の「国境の南」(『図書館の海』所収)結婚式に紛れ込んだ妖しい男の後を追う加納朋子の「紫の旅路」固有名詞が一切登場しない。宿敵をなくしたヤクザの苦悩に迫る小泉喜美子の「情婦」(『男は夢の中で死ね』所収)原典ハムレットを巧妙に脚色した島村 洋子「ハム列島」(シェイクスピアの名作パロディ集『てなもんやシェイクスピア』所収)2003/08/07
あつひめ
20
昇っても昇ってもグルグルグルグル・・・元の場所に戻ってしまうような出口のないような物語。女流作家ならではの目線と美しさを失わないミステリー・・・。女流ミステリー傑作選としてシリーズ化されているようなので他も見逃せない。永井さんの「洗足の家」が印象的。2011/03/21
陽
19
9人の作家による短編集。 どれも面白いが、菅浩江の「つぐない」が印象に残った。 DVって、身近にあることだ。 俺の知り合いにも加害者、被害者がいる。 ただ、加害者が悪いと言うのが常識的見解だろうが、被害者が異常人種という、変質者というこの物語に共感する。 内容は説明しづらいから割愛する。 ようするに、非常識だから、我慢ならないから、怒るってことだ。 こういう人は精神異常なんだけど、意外と俺の周りのもいるんだ。 付き合えないことはないけど、疲れるから疎遠になってしまう。2018/06/30
rakim
11
短編集だけれど、女流作家さんの個性が満載で濃い一冊。哀しかったり怖かったりちょっとユーモアがあったり。グルグルらせん階段を上っているうちに自分が今どこにいるのか見失う感覚に似てるかも。。の読了感。2016/12/05
鬼灯の金魚草
8
なにが怖いって「つぐない」に出てくる津和子さん、話の通じない人。ここまでひどくなくてもいるの、こういう人。「ハム列島」これも好き。2016/07/03