内容説明
光の魔術師ヨハネス・フェルメールと、微生物学の父アントニー・レーウェンフック。ふたりの天才を結ぶ、大切な約束―。時を超える友情、運命の恋、謎の少女。角川春樹小説賞受賞後第一作、渾身のアートミステリー!
著者等紹介
櫻部由美子[サクラベユミコ]
大阪府大阪市生まれ。銀行員、会社員、医療関係の職業などを経て、2015年に『シンデレラの告白』で第七回角川春樹小説賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
123
この作者さんは初めてでした。題名だけ見たときはフェルメールのデルフトでの生涯を書かれたと思っていたのですがそれに少しだけミステリー的な要素を加えた感じです。さらっという感じで結構楽しんで読みました。もうすこし波乱があるとも思ったあのですが。レーウェンフックとの友情も書かれています。デルフトには行ったことがあり例のフェルメールの風景画とそっくりなイメージを受けたものです(40年近く前ですが)。2018/02/18
のぶ
69
謎が多いとされる画家、フェルメールが、すぐ近くにいるように感じられた小説だった。舞台はフェルメールの出身地、デルフト。本の帯にはアートミステリーとあるが、それほどその要素は強くない。しかし、フェルメールの絵に登場する青いターバンの少女の正体等、いくつかミステリーが出てくるが、いずれも未解決のまま終わっている。その他、フェルメールの幼馴染で、後の微生物学者のアントニーとの交流や、取り巻く人たちの関係。これらはおそらく著者の、櫻部由美子さんの創作が多いのだろうが、美術の好きな人には楽しめる本だと思う。2017/10/08
九月猫
63
デビュー作がおもしろくて、2作目が待ち遠しかった櫻部さん。期待に違わず、今作もおもしろかった。ただ、帯の「アートミステリ」という言葉はどうなんだろう。アートもミステリもそれほどではなく。じゃあどこがよかったのかというと、これも前作同様なんだけど、登場人物と生活の描写。これがとても魅力的。ヨハネス、レーウ、マルク、ヤーコプの友情、師ファブリティウス、異国の少女オハナ、デルフトの風景……。私のお気に入りは、鬼姉妹を彷彿させるバーブラ!優しくて力持ちで働き者。惚れます♡2017/10/20
野のこ
58
17世紀のデルフトの街に訪れているように風景がありありと浮かんできました。フェルメールのこの街で生きるという想い。最初と最後の港の様子が印象に残りました。表紙を含め、壺から牛乳を注ぐ女性、ミステリアスな真珠の耳飾りの少女など、文面からいくつかの作品の風景が書かれてるのは楽しかったです。レーウはあの地理学者のお方だったのね。イケメンで気になってた絵じゃん!絵画の世界の登場人物が生き生きと描かれてるのは素敵でした。ミステリーなのも読み応えあって良かったです。2018/03/04
おかだ
53
さらさらっとフェルメールを楽しめる本です。あれ、原田マハかな?いや原田マハならもうちょいドラマチックになるか?的な感じであの~…ほんと、さらさらっとしてました。フェルメールって寡作なんだよね。30数点程度しか作品が残ってないらしい。その作品に描かれた場面の多くが出てくる。わーこの場面はあの絵の!とかこの娘があの名画の!とテンション上がる瞬間はあるのだけど…出来ればその名画を生み出す試行錯誤とか、誕生の瞬間の感動を味わいたかったかな。物語的にもうちょっとだけ波乱が欲しかったかも…。2019/10/11