内容説明
心がずきずき疼きやがる。桜が満開のころだった。女房が男と心中した。惚れあって夫婦になったあいつが、よその男と心中するなんて…おれを裏切っていたのか、それとも無理に殺されたのか?あの男がすることなら、なにをされても嬉しくて、身も心も、奥から歓びがあふれてくる。わっちは、文七さんにとんでもなく惚れ込んでしまった。最後の恋愛時代小説。
著者等紹介
山本兼一[ヤマモトケンイチ]
1956年京都生まれ。同志社大学卒。出版社勤務、フリーのライターを経て、2002年「白鷹伝 戦国秘録」でデビュー。2004年「火天の城」で松本清張賞受賞。2008年「利休にたずねよ」で直木賞受賞。2014年2月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ナイスネイチャ
129
図書館本。面白かったですが、最後の章が拍子抜けしたかなぁ。途中ものすごい面白かっただけに。珍しくエロいところがあり、女性にはオススメできないかな。2014/11/08
あすなろ
59
カネをシニカルに描く時代小説、という感想。人は、金欲や肉欲に溺れがちになり、次第にそれが普通になり漫然としてくるが、それを江戸の札差と吉原に照らして描かれている。いや、描こうとしている。山本氏の作品の中では、軽めの作品なのか。重い作品しか読んでいないため不明。一気に読んでしまった。しかし、男性向けの作品だろうなー。なお、山本氏最期の作品だからか、今一つキレに冴えない印象がある。2015/03/05
やま
57
有り余る金を持つ文七の恐ろしい物語です。札差の大口屋文七は、真面目に働き大口屋の大旦那から分家を許された。その時に、大旦那の世話をしていた奥女中のみつと祝言を挙げた。二人して店を繁盛させたが、みつが出合茶屋で人気の役者と心中した。2023/11/06
そうたそ
47
★★★★☆ 山本兼一さんにしては珍しい作風。随所に官能的かつミステリアスな雰囲気の感じられる異色作に仕上がっている。執筆時期からすれば、恐らく大幅な加筆修正の最中に山本さんが逝去されたのであろうことが伺える。故に完結されていながらも未完成な作品であるのかもしれない。愛する妻が何故か見知らぬ役者と心中を遂げた。前半ではその謎が多く描かれつつ後半では男が吉原で出会ったお蝶との暮らしが描かれ、最期に心中の謎が明かされるという構成。言い様のない切なさと儚さを内包した作品で、唐突にも感じられるラストは特に切ない。2014/11/20
ねむねむあくび♪
45
図書館の本。タイトルから吉原の心中物とは分かっていたけれど、それでも、山本さんらしくない作品に感じた。『修羅走る』が良かっただけに、残念。2015/03/21
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- 和書
- おサボり筋トレ