内容説明
わかば銀行から契約社員・梅澤梨花(41歳)が1億円を横領した。梨花は海外へ逃亡する。彼女は、果たして逃げ切れるのか?あまりにもスリリングで狂おしいまでに切実な、角田光代、待望の長篇小説。
著者等紹介
角田光代[カクタミツヨ]
神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。90年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、97年『ぼくはきみのおにいさん』で坪田譲治文学賞、『キッドナップ・ツアー』で99年産経児童出版文化賞フジテレビ賞、2000年路傍の石文学賞、03年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、04年『対岸の彼女』で直木賞、06年「ロック母」で川端康成文学賞、07年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、11年『ツリーハウス』で伊藤整文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
595
銀行の契約社員である梅澤梨花は正義感の人と言われていた。しかし、大学生の愛人を作り、顧客の預金を横領し、愛人に虚構を見せ、人生を狂わせていく。始めはふとした切っ掛けで預金を立て替えただけだった。次第にエスカレートする梨花の横領。大学生にパテック・フィリップの時計やアルマーニの服を買い与える。しかし、愛人には大学生の恋人ができる。お金の力は恐ろしい。自分に見あった現実以上の虚構を見せる事ができる。私も金融関係の仕事をしており、カードを乱用する人達を見てきた。周りにもいるしね。非常にスリリングな傑作。2014/12/21
takaC
584
NHKドラマの初回が放送された後に(本屋さんで)読み始めて、最終第5回が放送された後に(本屋さんで)読み終えた。ドラマは概ね忠実に話を再現はしていたが脚色も多かったし、最後に梨花は無事ラオスに逃げられたと取れる終わり方だったな。これまた小説に軍配。2014/02/06
☆ぉりん☆
581
ぞーっとした。そこまでの話はないにしても、自分も素質(?)がありそうで。初めは何の罪悪感もないところから始まり、だんだん後戻りができないところまで堕ちていく。ほら、つい最近まで似たような体験してました。確かに買い物をしたときの高揚感たらないし、それなりのところにたまたま行けたときとか、素晴らしいサービスを受けたときとか“自分はそれを受けるに相応しいんだ”って錯覚するときとかあるし。物欲に支配されるということは精神状態が正常じゃないことの証だけど、まさに今もちょっとまずいかもしれない。金銭感覚麻痺してる。2014/03/23
抹茶モナカ
463
顧客のお金を横領した銀行の契約社員の話。主人公には、愛人がいて、貢いでしまったりして、事態が深刻になって行く。僕は子供の頃、結構何でも買ってくれた父親に育てられて、それが当たり前だと思っていたり、物が欲しい時に父親に媚びていた事を思い出した。年齢を重ねて、僕も時々クレジットカードで衝動買いするようになった。そんな、あれこれを思って、もう死んでしまった父親に会いたくなった。僕は、紙の月、ペーパームーンの書き割りのような生活をしているから、尚更。2013/12/23
ヨミー
282
初の角田光代作品読了。映画化で話題になり、図書館で予約待ちで漸く読めました。どんよりでハッピーな終わりではないが、前半から引き込まれて、良かったです。梨花と光太が身の丈にあった倹しい交際ができたら、もっと違う関係になれたかもと思う。が、夫との微妙な関係性や自分がどういう存在かというところで、いろいろな迷いや不安もあり、非日常的なものを梨花は求めてしまい、横領に次ぐ横領を重ねて麻痺してしまった。誰にでも大なり小なりあり得るお金の魔力に改めて考えさせられる内容でした。映画版のもぜひ観てみたい。2015/02/08
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