著者等紹介
北方謙三[キタカタケンゾウ]
1947年佐賀県唐津市生まれ。中央大学法学部法律学科卒。81年『弔鐘はるかなり』でデビュー。83年『眠りなき夜』で第4回吉川英治文学新人賞、85年『渇きの街』で第38回日本推理作家協会賞長篇賞、91年『破軍の星』で第4回柴田錬三郎賞をそれぞれ受賞。近年は時代・歴史小説にも力を注ぎ、2004年『楊家将』で第38回吉川英治文学賞を、06年『水滸伝』で第9回司馬遼太郎賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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巨峰
46
李陵と司馬遷。その存在の正しさが帝のどうしようもない愚かさを照らしてしまう。転がり落ち始めた国はとめられないのか2013/05/30
Y2K☮
29
中島敦「李陵」が読みたくなる巻。彼に関するくだりはどこまでが史実なのか。武帝は在位期間の業績を後世から振り返る分には決して無能ではなく、むしろ名君の部類に入るのだろう。しかし見過ごせない悪手が目立つのも事実で、特にこの件に関する判断はひどい。李陵は理不尽な命を受けながら寡兵で最後まで戦い抜いたのだし、それを賞賛した司馬遷にも罪は皆無のはず。佞臣を重んじ忠臣を罰するのは暗愚な君主の常套手段。小説版ではない「史記」を読み、司馬遷がどう書いているのか知りたくなった。あとこの巻の匈奴は「水滸伝」の梁山泊みたいだ。2025/04/07
じお
9
★★★★☆ 再読。北方歴史小説シリーズ史記第5巻。老いによる劉徹の傲慢さ、蒙昧さが目に見えて酷くなる。なまじ衛青や霍去病が出来過ぎた為、過ちを認めず自分に都合の良い妄想を自分に納得させるように信じ込もうとする現実を見えなくなった只の小人の姿にしか映らなく、老いとは権力とは人をこうしてしまうのか、と。その犠牲になる李陵と司馬遷には同情を禁じ得ない。そんな中一際面白いのが蘇武のサバイバル生活である、物語が暗くなる中どんどん生活を充実させていくのは実にワクワクさせてくれる展開で楽しめる。2019/03/28
taka61
9
【図書館本】史記武帝紀を5巻まで読み進んだうち、ある意味最も衝撃的な内容でした。ストーリーに関してほとんど予備知識のない状態だったので、老いた劉徹の司馬遷と李陵に対する仕打ちは許しがたいものでした(>_<) しかし、このことを経験した司馬遷と李陵がこれからどの様に成長していくのか、次巻が楽しみです。2013/06/06
かおすけ
7
理不尽な罰を受けながらも生きることを決めた司馬遷と李陵。当時のことを考えると、理不尽な目に遭い、死ぬことよりも生きることを選ぶ方が苦しいのだろうな思いました。若いときの劉徹であれば、きっと正しい判断ができたのでしょう。今まで読んできて、帝としての長い在位や死への恐怖が、確実に劉徹の上に立つ者としての感覚を麻痺させていると思いました。そんな中、蘇武のサバイバル生活に心温まりました。狼の徹がかわいかったです。蘇武と李陵が再会できる日がくることを祈っています。2017/01/18