内容説明
花さんは、カメラを提げて旅に出る。ぼーっとしたり、酔っ払ったり、ヘンなお土産を買ったり…くすりと笑って、しみじみ。各紙誌で絶賛されロングセラーとなった『仏壇におはぎ』から4年、待望のフォト・エッセイ。
目次
近所の猫
土産物
十年ぶり
生き物
落雁
お参り
花嫁
裏口
男と女
土産話
老女
不機嫌な男
商店街にて
代々木公園の花見
骨董市の人たち
映画館で食べたい
雲の行方
電車に乗る
旅先で食べる
寒い日
旅日和、小江戸川越裏通り
虫のいる家
兵隊ごっこ
インドのホテルで、ドキドキ
著者等紹介
武田花[タケダハナ]
1951年、東京に生まれる。1990年、写真展「眠そうな町」で第15回木村伊兵衛賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
28
図書館で直感的に選んだ本。非常に面白かった。写真家武田さんのエッセイ集。うらぶれたり、ひなびたものばかりを被写体にして、独特の詩情を醸し出している。文章にも独特の感性がちりばめられていて、ユーモアやペーソスを感じた。他の方のコメントから分かったのが、武田さんは、武田泰淳と武田百合子の娘らしい。この誰もまねができそうにない独特の感じは、そこから来るものだと妙に納得した。2012/10/06
じゅき
18
読メで偶然みつけた本。フォトエッセイというのかなさらっと読めます。写真がいいっ!2012/12/28
たま
14
児玉清さんがインタビューなさった作家さん達の中でお二人もの作家さんがおすすめしていたエッセイということで手にとりました。ひなびた風景やもの、猫などを被写体にした白黒の写真と、ふうわりとした不思議なテンポ感のある文章。それらを読むと、現実で起こったことなのにどこか幻想的というか、おとぎ話的というか…なんだかジブリの世界に飛び込んだような感覚がして、とても面白かったです。他の著作も是非読んでみたいと思いました。それにしても、「虫のいる家」のインパクトがすごい…!2012/11/07
ジュースの素
7
ひとの暮らしと、暮らす場所はこのようなものだ。悲しくもなく、楽しくもなく そのままに何となく流れて行く。昭和、それもかなり前の時代の色と香りがする。 時が止まったような写真。武田花の作品に共通する匂いで、なぜか落ち着く。2020/02/01
guu
6
ある対談本で川上弘美さん、町田康さんらのおススメ本として掲載されていた本書。読んでみればお二方が薦める理由も分るよな、ただの猫好きフォト・エッセイではありませんでした。なぜなら武田さんが切り取る鄙びた町のモノクロ写真は、日本人なら誰もがスーッと過去へタイムスリップしてしまうような郷愁を秘めていて、いつしか時の移ろいに思いを馳せずにはいられないそんな貴重な一枚一枚だからです。そして写真にも負けず劣らぬの見聞きしたものありのままの飾らないエッセイ。写真にしろ文章にしろ武田さんは一瞬を切り取る名人なのでした。2010/09/17