出版社内容情報
《内容》 炎症性腸疾患の最新の知見を背景に潰瘍性大腸炎・クローン病の診断・治療のポイントを簡潔に解説し、患者や家族の苦痛と衷情を考慮した医療の実践に役立つQ&Aも収載。
《目次》
臨床医のための
炎症性腸疾患のすべて 目次
I-概 念
なぜ,今,IBDなのか 高添正和
炎症性腸疾患の歴史-その疾患概念の成立と治療法の発達 正田良介
疾患の存在とその疾患概念の成立
炎症性腸疾患の病因概念と治療法の変遷
日本での1950年代以降の炎症性腸疾患増加の意味
炎症性腸疾患の疫学 阪本尚正, 三宅吉博
記述疫学特性
分析疫学特性
II-病因・病態
感染症(ウイルス,細菌,人畜感染症) 大草敏史, 荻原達雄, 佐藤信紘
腸管炎症における抗原(細菌・ウイルス)と免疫担当細胞のクロストーク
潰瘍性大腸炎の原因微生物について
クローン病の原因微生物について
細菌構成成分,細菌産生物質の腸管炎症起因性
細菌センサーとしてのToll-like receptorとNOD2の役割
食品成分 石川秀樹
潰瘍性大腸炎と食品成分について
食物繊維
脂質
乳製品
ビフィズス菌発酵乳
増粘多糖類
その他
III-症 候
初発症状 一森俊樹
潰瘍性大腸炎
クローン病
経過中に生じる症状 朝山雅子
消化管病変による症状
全身の合併症による症状
IV-炎症性腸疾患を疑うべき所見
腹部所見 一森俊樹
小腸主体のクローン病
大腸主体のクローン病
上部消化管主体の場合
クローン病の分類
活動度の評価法
潰瘍性大腸炎
腸管外合併症 酒井篤司
肛門病変 岡本欣也
潰瘍性大腸炎の肛門病変
クローン病の肛門病変
V-診 断
X線診断 垂石正樹, 斉藤裕輔, 高後 裕
炎症性腸疾患におけるX線診断の役割
潰瘍性大腸炎
クローン病
内視鏡診断 本間 照
縦走潰瘍
玉石敷石様所見
浮腫,発赤,出血,びらん
アフタ様病変
特殊検査 川島耕作, 木下芳一
炎症性腸疾患の血清診断について
抗好中球細胞質抗体(ANCA)
ASCA
p-ANCA,ASCAの今後の利用法について
X線検査-治療方針変更,外科手術適応決定のためのポイント 奥田圭二, 田中寅雄
X線検査の目的
X線検査の前処置
病態からみた手術適応
内視鏡検査-治療方針変更,外科手術適応決定のためのポイント 近藤健司, 浜田 勉
潰瘍性大腸炎
クローン病
栄養評価 斎藤恵子
栄養評価の項目
栄養療法の適応基準
超音波検査 西田潤子
超音波検査の意義
基本的超音波所見
超音波検査の役割
VI-治 療
・薬物療法の実際
薬物療法の原則 鈴木康夫
アミノサリチル酸製剤
ステロイド薬
免疫抑制薬
抗サイトカイン製剤
その他の薬剤
5-ASA・SASP-効果機序と実際の効果 倉形秀則
SASPの体内動態について
SASPの作用機序について
5-ASAについて
潰瘍性大腸炎に対する実際の効果
クローン病に対する実際の効果
副作用について
ステロイド 田中寅雄
潰瘍性大腸炎
クローン病
免疫抑制薬 鈴木康夫
CYA
tacrolimus hydrate(FK506)
mercaptopurine(6-MP)とazathioprine(AZA)
methotrexate(MTX)
その他の免疫抑制薬
クローン病の胃・十二指腸病変に対するメサラジン粉末の投与 長又博之
症例
Q & A
抗生物質の合理的使用法 須崎 愛
腸内細菌の抑制
瘻孔・裂溝を通じて生じた感染症の治療
肛門周囲膿瘍・痔瘻の治療
術後感染の予防と治療
その他の感染症を合併した場合の治療
抗ヒトTNF-αモノクロナール抗体-レミケード 高添正和
作用メカニズム
臨床応用
安全性
・白血球除去療法
機序と実際の効果:潰瘍性大腸炎 近藤健司, 篠田俊雄, 浜田 勉
機序
方法
効果判定
適応
結果
副作用
症例呈示
白血球除去療法の今後の展望
・栄養療法
栄養療法:TNTに基づいて 斎藤恵子
栄養アセスメント
栄養所要量
投与経路
・食事療法
食事療法 斎藤恵子
食事療法の基本
炎症性腸疾患に必要な栄養量
・外科的治療
クローン病の肛門病変-痔瘻を中心に 岡本欣也
クローン痔瘻の治療方針
クローン病の痔瘻の分類
通常痔瘻typeの治療
anorectalクローン痔瘻typeの治療
クローン痔瘻治療経過中の注意点-痔瘻癌の合併
狭窄性病変 杉田 昭
潰瘍性大腸炎
クローン病
穿孔性病変 小金井一隆
潰瘍性大腸炎
クローン病
難治性 小金井一隆
潰瘍性大腸炎
クローン病
腸管外合併症 杉田 昭
皮膚病変
成長障害
関節炎
癌合併 篠崎 大
潰瘍性大腸炎
クローン病
吻合 杉田 昭
潰瘍性大腸炎
クローン病
周術期のステロイドカバー 木村英明
周術期のステロイド必要量からみたステロイドカバーの実際
ステロイド離脱症状
潰瘍性大腸炎・クローン病患者の周術期管理と麻酔 梶原慶三
長期予後
性格特性
全身状態の把握と麻酔
術後管理
消化器ストーマ 岡本欣也
消化器ストーマの種類
炎症性腸疾患患者のストーマ造設時の注意点
ストーマ造設の適応
ストーマの作製方法
腹腔鏡下手術 長谷川博俊, 渡邊昌彦
クローン病
潰瘍性大腸炎
・非手術的治療
クローン病の腸管狭窄の非手術的治療-バルーン拡張,ステント 松橋信行
バルーン拡張術
ステント留置術
ストーマの管理 伊藤美智子, 積美保子, 藤井京子, 萬田良子
ストーマ造設に伴う心理面の援助
ストーマの位置決め
術後管理のポイント
社会復帰後のケア
・看護・指導
クローン病患者の看護・指導 廣島美奈子, 蒲池慶子, 高橋綾子, 萬田良子
クローン病・内科看護
経腸栄養法導入時の看護とHPN導入時の看護
看護基準を作成して
VII-経過中の具体的な問題への“しのぎ”対処
貧血,出血 樫田博史, 大塚和朗, 工藤進英, 岡田明彦
難治性潰瘍性大腸炎における出血
クローン病における出血
炎症性腸疾患における貧血
発熱 鳥居 明
風邪・抜歯 海野 潤
風邪の病態が炎症性腸疾患に与える影響
風邪の治療に際して使用する薬剤の炎症性腸疾患に対する影響
肛門痛 大塚新一
肛門周囲皮膚炎
その他の肛門痛
難治性 樫田博史, 大塚和朗, 工藤進英, 岡田明彦
難治性潰瘍性大腸炎
難治性潰瘍性大腸炎の治療
難治性クローン病
難治性クローン病の治療
消化管外合併症 樫田博史, 大塚和朗, 工藤進英, 岡田明彦
VIII-特殊合併症の治療(非特異的な臨床場面)
血栓症の合併 田中寅雄
出血タイプ 一森俊樹
大量下血するクローン病について
出血型クローン病の特徴
治療
腎疾患 吉本 宏, 篠田俊雄
炎症性腸疾患の糸球体疾患合併例
アミロイドーシス(アミロイド腎症)
脱水および電解質異常の影響
薬剤の副作用
腎不全時の薬剤投与法
胆石の合併 秋山純一
頻度
病態生理
治療
原発性硬化性胆管炎 三浦英明
疫学
診断
経過
治療
血管内留置カテーテル感染症 須崎 愛
カテーテル関連感染症の病型
カテーテル関連感染症の機序
カテーテル関連感染症の起因菌
診断
治療
カテーテル関連感染症の予防
呼吸器合併症 一森俊樹
呼吸器合併症
気道炎症
間質性肺炎
その他
治療
鑑別診断
運動と骨粗鬆症 田中寅雄
運動耐用能について
運動療法の効果・影響
副腎皮質ステロイドおよび免疫抑制薬
カルシウム,ビタミンD,ビタミンK
サイトカイン
運動不足,喫煙
クローン病患者の口腔ケア 中野雅昭
口腔症状
口腔処置
口腔ケア
上部消化管病変 松岡美佳, 鳥居 明
上部消化管クローン病
薬剤による上部消化管病変
ストレスによる上部消化管病変
ビタミン・ミネラルの欠乏 斎藤恵子
脂溶性ビタミン
水溶性ビタミン
ミネラル
水分と電解質
肛門直腸腟瘻 小金井一隆
クローン病
潰瘍性大腸炎
IX-クローン病の治療戦術
病態別治療の選択 高添正和, 田中寅雄, 岩垂純一
基本的考え
病態別の治療選択
小腸型クローン病
右側結腸に主病変のある大腸型クローン病
左側結腸に主病変のある大腸型クローン病
全結腸にわたり非連続性に病変が存在する大腸型クローン病
小腸優位の小腸大腸型クローン病
大腸優位の小腸大腸型クローン病
小腸大腸同じ程度の小腸大腸型クローン病
全結腸にわたり非連続性に病変が存在する全結腸型クローン病
特殊なクローン病
X-小児科領域の炎症性腸疾患 大塚宜一
疫学
薬物療法
栄養療法
外科療法
成長障害への対応
心理療法
XI-社会保障 柿沼佳実, 伊藤國義
特定疾患医療費助成制度
障害者手帳
病気による障害に対する所得保障
Q & A
XII-研究の行く末
遺伝子-研究および治療への応用 塩島 聡, 辻本豪三
遺伝子(gene)からゲノム(genome)へ
ゲノム,トランスクリプトーム,プロテオーム
ゲノム情報から機能解析へ
ゲノム医学とテーラーメイド医療
最先端の研究 伊藤裕章
ヒトから疾患モデルへ
疾患モデルからヒトへ
treatmentからcureへ
新しい治療薬の開発 杉村一仁
新しい治療薬・治療法の開発
クローン病に対する治療薬研究
潰瘍性大腸炎に対する治療薬研究
炎症性腸疾患の新しい治療 田中寅雄, 高添正和
分子標的治療
再生医療
遺伝子治療
XIII-炎症性腸疾患を知るために
クローン病患者の手記-長い道程を経て
臨床の場での患者・家族からのQ & A
内容説明
本書は患者家族の哀情を共感することからはじめ、臨床の知識そして基礎研究の進歩の概要に至る道筋がわかるように、換言すれば、患者・家族・病気の総体を「俯瞰図」的に理解することから、基礎研究内容を微視的にまたは「拡大図」的に理解できるように配慮した。なお、炎症性腸疾患の病態における種々の免疫関連分子の関与については割愛した。
目次
概念
病因・病態
症候
炎症性腸疾患を疑うべき所見
診断
治療
経過中の具体的な問題への“しのぎ”対処
特殊合併症の治療(非特異的な臨床場面)
クローン病の治療戦術
小児科領域の炎症性腸疾患
社会保障
研究の行く末
炎症性腸疾患を知るために
著者等紹介
高添正和[タカゾエマサカズ]
社会保険中央総合病院内科部長
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。