内容説明
人類の偉大な挑戦。風疹ワクチン開発を描くノンフィクション。
目次
第1部 細胞(はじまり;発見;ウィスター再生;染色体異常と中絶;死にゆく細胞と定説;スウェーデンからやってきた細胞;ポリオワクチンの“お客様”;人体実験)
第2部 風疹(姿を見せた厄災;小さな命を襲う災い;狂犬病;孤児と市井の人々;馴染みの悪魔;政治と圧力;大脱走;熊の穴;細胞をめぐる闘い;DBSの敗北;躍進)
第3部 WI-38細胞をめぐる攻防(奪われた命とスカイラブ;細胞Inc.;苦難の道;ワクチン開発競争;生物学Inc.;ヘイフリック限界の解明;ブート・キャンプの病原体とバチカンへの嘆願;巣立ちのとき)
エピローグ:その後
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mawaji
6
ワクチン開発の光と影を綿密なリサーチに基づいてまとめ上げられた一冊、とても興味深く読みました。中絶胎児組織を無許可で使用することの当時の認識も今から思えば問題山積ですが科学者としてワクチン開発に真摯に取り組んだヘイフリックらはとても頑張ってくれたと思います。哲学的に考えればワクチンの恩恵を受けているわれわれは皆ひとしくWI-38の胎児との間に物理的なつながりがあるといえよう。新コロワクチンの副反応の報道を見ると「今さら感」が拭えませんが本書を読むとコミナティはとても安全かつ慎重に作られたものと思われます。2021/02/27
みう
3
ワクチン開発の光と闇。とても読み応えがあり知識も増えて面白い。事実は小説よりも奇なり。
キミ兄
3
ワクチン培養のためのクリーンな細胞を手に入れるのがこんなに大変だとは。確かに人間の細胞ならば生まれながらにウィルスに感染していても害がないことは分かっているのでサルとかよりは無害だということは分かる。それにしても生々しい。☆☆☆☆。2021/02/06
vonnel_g
2
ヘイフリック限界で有名なレオナルド・ヘイフリックを中心に語られるポリオ・風疹・狂犬病のワクチン開発の光と闇。すごく面白かった。ヘイフリック限界のアイデアがこういうところから出ていたとは。ワクチンの製造に関してはmRNAという大ブレイクスルーが出てしまったので、ここにあるような方法はいずれ過去のものになるのかなと思った。日本はポリオと狂犬病は清浄国だけれど、今でも風疹は妊婦の渡航に関して注意喚起がされている程度に流行しているという事実を改めて噛み締める。2021/09/24
かさご
1
スウェーデンで中絶した胎児の肺からとった細胞を培養 WI-38。WI-38細胞は20億人以上に免疫をもたらしたワクチンの製造に使われてきた。2021/04/17