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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
めしいらず
63
映像化にしろ漫画化にしろ、原作を愛する読者はとてもシビアにその再現度を探る。ここには乱歩のスピリットが見事に受け継がれていた。乱歩好きをも納得させる一冊だった。勿論、最大の見所は主人公が夢想し現実化したパノラマ島の光景だ。どこか「奇界遺産」にも似た奇っ怪で歪な美のありよう。海底の異界。白鳥のゴンドラ。サイズ感の歪な建築、自然、オブジェ群の絶景。シンメトリーな庭園。酒池肉林。性の解放。美しき死体。美と醜のアブノーマルな交合が読者を幻惑し、酩酊させる。そしてイメージ通りに鮮血の美学が迸るラストシーン。お見事。2018/09/19
GaGa
51
絵は趣味がわかれるところ(正直私は好きではないが、乱歩の世界を表現するならわりといいのかもしれない)でも思ったほどグロくない。パノラマ島の描写は正直自分の想像とはかけ離れていた。ともあれ楽しく読めました。2013/02/20
藤月はな(灯れ松明の火)
32
原作は既読でしたが「この物語は遠回りで切ない恋愛小説でもあったのだな」と思いました。パノラマ島の生々しく、ねっとりとして享楽的な雰囲気を壊さずに細部までこだわりと美意識を持って描かれているので息を呑んでしまうぐらい、感動しました。読んだ人が頭で妄想するしかなかった江戸川乱歩特有のエログロ世界が素晴らしきまでに再現されていてとても嬉しいです。「芋虫」と画集収録の「踊る一寸法師」もぜひ、読みます!!我儘を言うならば「孤島の鬼」も丸尾末広氏にお願いしたい位です><2011/12/06
アズル
21
江戸川乱歩の中でも結構好きな話を丸尾さんが漫画化。ラストが原作と違っていて、「あのラストをこういう風にしちゃったのか…」と残念。けれど、高校時代辺りに読みたかったなぁ、と思います。思春期に読んだら、ヘンに悶々として、ちょっとダメな人間になりそう(笑)、それもアリかと。美しい絵がやみつきになりますね。2014/03/10
佐倉
16
江戸川乱歩の名作パノラマ島綺譚が高い画力で表現されているコミカライズ。地味でうだつの上がらない日常を描く序盤、サスペンス風味の中盤、そして美と醜悪が紙一重になった圧巻のパノラマ島の描写と原作の魅力がコンパクトに纏まっていた。大階段、どこまでも続く風景、全裸の芸人たちが佇む湖と風景描写は流石の一言。原作を読んだ時に幻視した風景が解像度を上げて迫ってくるかのようだった。最後に現れる探偵については明智説をとっているようだが、まぁ映画版とかだと明智だし北見と言われても誤植を疑うかもだからそれで良いのかも知れない…2025/04/06