内容説明
中世説話を文学、和歌、音楽から多様かつ重層的に考察。中世に成立した『宇治拾遺物語』と『古事談』を取り上げ、密接した関係にありながら異なる性格の両書について、作品全体に関わる問題と個々の説話を、史実と伝承を検証しながら考察する。第一部では『宇治拾遺物語』の和歌説話や盗賊袴垂や大太郎の説話について、第二部では『古事談』の方法を再確認し、通説であった『今鏡』との直接関係説を否定するなど、多様かつ重層的に中世前期の説話文学について論じる。
目次
第1部 『宇治拾遺物語』の研究(『宇治拾遺物語』の序文―研究史概観;『宇治拾遺物語』の伝承圏―第七九話を例として;和歌と樵夫―第四〇話の「場」;藤六と樵夫―第一四七話の和歌をめぐって;大太郎と袴垂―第三三話の表現と特質;源平合戦と平等院―『教訓抄』巻第九より)
第2部 『古事談』の研究(『古事談』と『富家語』の関係―説話化の方法と研究史;『古事談』と『今鏡』の関係―直接関係説の否定;『古事談』と『江談抄』の関係;智海と永心―『宇治拾遺物語』、『古事談』と『発心集』との交錯;小式部内侍と定頼―『古事談』第二第七七話をめぐって;『古事談』同話比較簡易対照表)
著者等紹介
鈴木和大[スズキカズヒロ]
1992年神奈川県生まれ。現在、二松学舎大学非常勤講師、東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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