内容説明
『挙白集』和文の初の本格的注解。豊臣秀吉の甥に生まれ、戦国の乱世の中で数奇な運命をたどった木下長嘯子。本書は、秀吉存命中は若狭小浜城主・聚楽第歌人として活躍し、関ヶ原以後は徳川家康に疎まれ隠者として生きた長嘯子の家集『挙白集』巻六~巻十の和文部の評釈と、関連する論考三編を収める。初版本である慶安二年版本を使用した“本文”に、“語釈”では章句・語彙などの意味、故事及び修辞に基づく表現の典拠を明らかにし、詳細な注を施した。“通釈”ではわかりやすい現代語訳を、“余説”では執筆の経緯や文章表現上の特色などを解説して読者の鑑賞に備えた。近世の和文様式の規範と評価され芭蕉にも影響を与えた、長嘯子の和文の初の本格的注解。
目次
評釈篇(『挙白集』巻六;『挙白集』巻七;『挙白集』巻八;『挙白集』巻九;『挙白集』巻十)
論考篇(藤原惺窩作「長嘯子につかはしける詞」私注;『挙白集』和文の典拠と構造;石水博物館蔵“狂歌書留”考)