内容説明
上代日本語・日本文学研究において、文字、漢文訓読と表記、語彙を巡る考究は不可分の関係にある。各種文献―記・紀・萬葉・宣命・木簡、さらには東アジアの諸文献まで、深く、精緻に向き合った、21の新知見を採録。
目次
雄略紀述作における樟媛造型の事情―「別本」と「或本」の所伝を手がかりに
古風土記受容史研究序説
人麻呂歌集「寄物陳思」歌二首の解釈―巻十一・二四五六番、二四五七番
高句麗・百済建国神話の変容―古代日本への伝播を通して
一音節名詞ア・イ・ウ・エ・オ
上代における文末「ノミ」という表現
古事記における履中天皇の造形
『萬葉集』中臣宅守の三七五八歌の表現とその位置付け―「人嬲り」を中心に
『先代旧事本紀』における即位称元
“漢語”から考える上代日本語表記論―併せて文体論
玉屋本『日本書紀』の神代巻について
宣命の表記と読み上げ
日本書紀古訓に見る「ウベ(ムベ)~ベシ・動詞命令形」の訓法をめぐって―「宜」の用法・構文と「ウベ(ムベ)」の語法分析より
日子坐王の系譜
古事記の「宇気布時」―その時間表現を考える
『古事記』国譲り神話の「治」について
『日本書紀』垂仁天皇条の諺「天之神庫随樹梯之」考
宣命における使役表現―使節派遣の文章句形を中心に
家持の奈良麻呂の乱関連歌三首
『遊仙窟』所収詩についての研究―形式からの考察 其の一
言霊の構造
概要と展望