内容説明
泉鏡花の作品世界においてほとんど存在しないとされてきた「父」の問題に着目。鏡花が明治20年代後半から40年代にかけて発表した小説を取り上げ、それらの中で構築される「父」を分析すると共に、「父」との関係において描かれる「女」あるいは「母」についても考察した。
目次
鏡花世界における「父」の審級
第1部 鏡花の出発―「観念小説」を中心に(「人外」の「信仰」―「海城發電」論;「悪魔」の挑戦―「貧民倶楽部」論;「父」の構築―「黒猫」から「なゝもと桜」へ)
第2部 鏡花の構想―「詩想」としての「女」(「詩想」としての「女」―「笈摺草紙」における言文一致の戦略;もたらされた危機―『湯島詣』論;『風流線』のプラクシス ほか)
第3部 鏡花の闘い―不遇と再起の時代(恩寵としての「音調」―『婦系図』本文異同と「談話」の考察を中心に;妙子という「婦」―『婦系図』を司るもの;白い媒介者―『白鷺』における師‐父と「女」の機能 ほか)
著者等紹介
金子亜由美[カネコアユミ]
1983年茨城県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。同大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学・早稲田大学)。専門は日本近代文学。現在、日本大学経済学部非常勤講師ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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